バースデーオフ会Part1


12月7日、るんるんチャンネルバースデーオフ会当日。朝から会場に行くと、参加者特典である俺と馨のツーショチェキを撮った。傑と硝子には関係者で来てもらった。傑を通じてスタッフに私服警官を派遣して貰ったし、警備は万全。握手会はイベントの最後にある。イベントの流れを確認して、開場まで控室で待った。

「ガチ恋女がイベントに参加してなかったら、雇い損じゃないの?」
「別に、何もなけりゃそれでいい。参加してる可能性の方が高い。俺も顔は覚えてるし、傑にもあの女の顔映ってたのスクショして送ってるから、スタッフも顔覚えてる。」
「暫く様子を見て、相手が何か行動に出たところを現行犯。何もなければ、呼び止めて厳重注意で終わるよ。」
「…万が一何か起こったら、リスナーさんたちもビックリしちゃうんじゃ…。」
「その時は俺に考えがあるから、任せなさい!」

オフ会が始まると、俺と馨はステージに。傑と硝子は会場内に紛れた。

「いつもるんるんチャンネルを応援してくれてる皆さん、お疲れサマンサー!皆のお兄ちゃん、悟だよ!」
「お疲れサマンサー!皆の妹、馨です!今日は私たちのバースデーオフ会に参加してくれてありがとうございます!」
「今日の為に色々準備したから、皆楽しんでねー!」
「まずは、こちら!」
「「仲良し兄妹とリスナーさんで、イヤホンガンガンゲームしてみた!」」

「「「わー!!」」」

「ルールは簡単!整理番号で呼ばれたリスナーさんはステージに上がってね!」
「スタッフさんがお題を書いたクジを持ってくるので、そこから1枚引いたクジを、私達に読み上げて貰います!」
「僕たちは音楽が大音量で鳴ってるヘッドホンをしてるから、僕たちの内どちらかにお題を当てられたら豪華賞品プレゼント!」
「私達はお題の内容を知らないので、頑張って伝えてください!」
「それじゃあこのビンゴで整理番号決めるよー!馨、回してー。」
「はい、…はい、整理番号96番の方!ステージにどうぞ!」

「…あ、私だ!!!」

「ステージまでどうぞ〜!」
「じゃあ私達はヘッドホンを付けます!」
「うわ、うるせっ!」
「これちょっと耳痛い!」
「馨聴こえる?」
「?何か言った?」
「え?なに?」
「え?」
「馨可愛い!!」
「え?聞こえない!」

「馨ちゃんかわいー!」
「悟くーん!」

「「?」」

「では、お題を引いた96番さん、2人に向けてお題をどうぞ。」
「えっと…、メロンパン!」

「「?」」
「え、もう一回!」
「全然分かんない!」

「め、ろ、ん、ぱ、ん!」

「エロい本?」
「あ、わかった!明太子!」
「え、違うの?」
「ん?チェホンマン?…あ!分かったぁ!メロンパン!!」

「馨さん正解!」

「え、馨当たった?!」
「わ、正解?!」
「外していい?」
「外していいの?」
「正解なに?」
「メロンパン!」
「あぁ〜!」

「96番さんには豪華賞品プレゼントです。」

「豪華賞品は僕達が普段使ってるオススメ商品だよ!」
「この中から好きな物を1つ選んでください!」
「わぁ…!じゃあ…え、どうしよう…、これにします!」
「あ、それはバスボムです!私はラベンダーの香りがオススメです!」
「あれね、僕はバニラの香りがお気に入り。」
「わぁ…やった!!」
「96番さんありがとうございました!」
「じゃあ次の人、僕が引くよ〜。…はい、48番!48番のリスナーさん出ておいでー。」

「あ、俺だ!」

「じゃあ僕たちはヘッドホン付けまーす。」
「〜♪(ルンルン)」
「馨可愛い。ちゅーしていい?」
「?」

「「きゃー!」」

「では48番さん、どうぞ。」
「お好み焼き!」

「「?」」
「え、待ってね、お?」
「えっと…、え?わかんない…!」
「お…お…お、…え、もっかい言ってくれる?!」

「お、こ、の、み、や、き!」

「……わかった!!」
「え、なに…分かんない!」
「僕天才。これでしょ、おもろい真希!」

「喧嘩売ってんのかバカ!!」
「え!真希ちゃん来てるの!?」
「真希ちゃーん!」

「あれ、違う?!」
「…ホルモン焼き?とか?」
「…あ、お好み焼き!」

「正解!48番さん豪華賞品プレゼントです!」

「お、当たった?馨、外していいよ!」
「?」
「外して、」
「あ、正解したの?!え、答えなに?」
「お好み焼き!食いもんばっかじゃん!」
「これにします!」
「あ、スリッパね。それめっちゃいいヤツだよー!」
「48番さんおめでとうございます!」

その後もオフ会は無事に進行。リスナー参加型の企画を続けて、とうとう最後の握手会になった。握手は1人30秒ずつ、僕、馨の順で握手をする。僕が先なのは、あのガチ恋女がいたらすぐに気づけるし、僕が足止めをして馨に危害を加えさせないためだ。

「俺、西中の虎です!」
「あぁ、いつも1コメの!ありがとね〜。」
「これからも頑張ってください!」
「任せなさい!」

「…恵です。」
「あ、2コメ?」
「っス。」
「頑張って1コメ取ってよー。」

「野薔薇様。」
「んー、ああ、思い出した。馨のコスメがどうとか言ってた、」
「覚えてんの?」
「あれ?違った?」

「伏黒だ。」
「んー、知らね。」
「名刺。ビル建てる時はうちを使えって親父さんに渡せ。」
「僕親父の仕事興味ないからパス。」

「ヤッホー悟お兄ちゃん!」
「直哉帰れ。」
「わざわざ京都から遠征してんのに、酷ない?」
「スタッフさん、この人そのまま出口に連れてって。」
「ちょ!なんでなん!?」

「ツナマヨ!」
「ん、おにぎりじゃん。」
「しゃけしゃけ!」
「いつもありがと〜。」

「乙骨です!」
「あー、中等部にいた!」
「はい!狗巻君と一緒に来ました!」
「あ、おにぎり?」
「はい!」

「来てやったぜ、悟。」
「お、真希じゃん。」
「真依もいる。」
「サンキュー。」

「来たわよ。」
「わざわざ悪いねぇ。」
「馨に会いに来たんだから、勘違いしないで。」
「はいはい、ありがと〜。」

「呪いの王だ。」
「あ〜…中二病の。」
「貴様、俺をバカにしているのか。」
「別に〜?」

「初めまして、モブ美です!」
「いつもありがと〜!」
「わぁ…!!!悟君実物ヤバい!!めっちゃかっこいい…!!お疲れサマンサー!」
「お疲れサマンサー!」

「わ、わあ、リアル悟君だ…!」
「えっと、なにちゃんかな?」
「あ、私、モブ子です!2人とも大好きです!馨ちゃんといちゃいちゃ動画上げて欲しいです!応援してます!」
「ありがと〜。いつか上げるね〜。」

「…あ、の、」
「緊張してる?」
「あ、はい、コメントした事ないんですけど、その、いつも見てます!」
「ありがとう!コメントしてくれたら読むよ〜。」

そして遂に、あの女が来た。

「あ、の、悟君、大好きです!」
「…どっかで会った事あるよね。」
「え?!覚えててくれてる!?」
「ああ、僕のガチ恋ファン。みるく、だっけ?」
「あ、はい!あの、これ、連絡ください!」
「ごめんけど、そういうの出来ないから。」
「…あ、ごめんなさい、」

みるくが馨に進む。僕が小さく手を挙げると、スタッフに扮した私服警官がみるくの後に続いた。みるくが何やら不審な動きをしている。鞄に手を入れて、何かを出そうとした。馨はまだリスナーと話していてみるくに気付いていない。スタッフが馨と話していたリスナーに時間を告げて背中を押した。

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