バースデーオフ会Part2


オフ会は順調に進んで握手会になった。お兄ちゃん、私の順で握手をしていく。お兄ちゃんとは2メートルくらい距離があるけど、何かあった時の為に、私達の周りにはスタッフに扮した警察の人が警戒してくれるらしい。

「あ、西中の虎君!えっと、悠仁君だっけ?」
「馨さん!!今日も大好きっす!めっちゃ可愛かった!!名前も覚えててくれて超嬉しい!!」
「私もまた会えて嬉しい!いつもありがとう!」
「俺もう絶対手洗わないから!」
「え!?」

「恵くん、今日もありがとう!」
「っス…、あの、馨さんこれ、ファンレター書いたんで、」
「ありがとう…!後で大事に読むね!Jwitterにファンレター貰えたこと上げてもいい?」
「は、はい、大好きです。」
「ありがとう!またね!」

「馨さん今日の服もめっちゃ可愛いです!!」
「野薔薇ちゃん、ありがとう!野薔薇ちゃんも私服めちゃくちゃ可愛い!」
「馨さんが好きって言ってたブランドの服、買っちゃいました!」
「わ、じゃあ今度お揃いで着たい!」
「馨さんとおそろとか私嬉しくて死ぬ…!」
「死んじゃだめだよ?!」

「初めまして、今日はありがとうございます!」
「これ、連絡しろよ。」
「あ、すみません、そういうのは受け取れなくて…。」
「伏黒建設っていや、親父さんも分かるだろ。使ってくれって伝えてくれ。」
「あ、父宛ですか?」
「馨だったな、オマエからのデートの誘いも待って「お時間でーす。」チッ、」

「馨ちゃーん、ちょっとこれどうにかしてくれへん?!」
「あ、直哉君、来てくれてありがとう!」
「あ、ちょ、俺馨ちゃんと握手してない!!」
「あれ、直哉君行っちゃった…、」

「ツナマヨ!」
「棘くん、来てくれてありがとう!」
「しゃけしゃけ!すじこ…明太子!!」
「えっと、ごめんね、わかんないや…。」
「いくら!」
「あ、また絵描いてくれたの!?嬉しい、ありがとう!」
「高菜!」

「乙骨くんだ!」
「はい!乙骨くんです!馨さん今日も可愛かったです!!」
「ありがとう、楽しんでくれた?」
「はい!」
「またよろしくね!」
「馨さん好きです!!」

「よお、馨。」
「あ、真希ちゃん。来てくれてありがとう!」
「真依もきてるぜ。プレゼント、楽しみにしとけよ。」
「え、わざわざありがとう!今度またコラボしようね!」
「ああ。連絡する。」

「馨、来たわよ。」
「真依ちゃん、来てくれてありがとう!」
「馨、誕生日おめでとう。真希と一緒にプレゼント選んだから、喜んでくれると嬉しい。」
「ありがとう、楽しみにしてる!気を付けて帰ってね!」
「ええ。」

「呪いの王だ。」
「わぁ…!今日は来てくれてありがとうございます!」
「女、誕生日とやら、祝ってやる。」
「うふふ、呪いの王さんって面白いですね!ありがとうございます!」
「俺の別荘生得領域に招待しよう。可愛がってやるぞ。」
「別荘お持ちなんですね、すごい!」
「フン、「お時間でーす。」おい、まだ話は、」

「初めまして、モブ美です!」
「モブ美ちゃん、いつもコメントありがとう!」
「馨ちゃんめっちゃ顔ちっちゃい…!お人形さんみたい!!大好きです!!お疲れサマンサー!」
「ありがとう、お疲れサマンサー!」

「わ、わあ、馨ちゃんだ…!超天使…!」
「ありがとう、お名前なにちゃん?」
「あ、モブ子です!2人とも大好きです!悟君と存分にいちゃいちゃしてください!これからも応援してます!」
「ありがとう。これからも頑張るね!」

「わぁ、なにちゃんかな?」
「…あ、の、モブです!」
「モブちゃん?今日は来てくれてありがとう!」
「私、コメントした事ないんですけど、その、いつも応援してます!」
「ありがとう!コメント待ってるね!」

次のリスナーさんが私の前に来た時、その顔を見てハッとした。この人確か、

「馨死ねっ!!」
「きゃあ!」

スタッフさんの背に隠されてその人は見えなくなった。けど一瞬キラッと光ったそれは、

「馨!!」
「はっ、はっ、はぁ、」
「馨、大丈夫だから、ちゃんと息吸って!」
「お、に、ちゃん、」

「確保っ!」
「離せっ!!離せよクソが!!馨殺す!!」
「静かにしろ!現行犯!」

会場内がざわざわと騒がしくなるのを遠目に聞きながら、私はぎゅっと目を瞑る。息が苦しい。お兄ちゃんが私をぎゅっと抱き締めて背中を擦ってくれる。

「馨ちゃん、大丈夫かい?」
「馨!」
「硝子、馨が過呼吸!」
「馨、私の言う通りに息して。吸って…、止めて、」
「ふっ、はっ、」
「吐いて、」
「はぁ…、はっ、」
「もっかい。」

硝子ちゃん言われた通り呼吸を整える。何度も繰り返している内に、指先の痺れが和らいできた。お兄ちゃんがずっと私の名前を呼んで、ずっと背中を擦ってくれた。硝子ちゃんが私の手首を掴んで脈をとって、傑君はスタッフに指示をしているらしい。呼吸が落ち着くと、私は途端に体が重たくなった。

「悟、馨ちゃん、あの女は捕らえてそのまま現行犯にしたから、安心して。」
「傑、助かった。」
「馨ちゃんの為だからね。それと、会場内の他のリスナーはどうするんだい?皆不安がってるよ。」
「馨、落ち着いて聞けよ。とりあえず今のは俺から皆へのドッキリってことにするから、馨も俺に話し合わせて。出来るか?」
「…う、ん、頑張る。」
「ん、いい子。」

立ち上がって、深く深呼吸をした。リスナーさんたちが私達を見ている。しっかりしないと…。

「いやぁ〜、皆ビックリした?実はこれ、僕から皆へのドッキリでしたー!」
「もうっ!私も聞いてないからホントにびっくりした…!」
「馨ごめんねぇ…!でも怖がる馨をこうやって堂々とぎゅーできるわけだから僕からしたらすごい役得だった!」
「もう!」

「クズ!サイテー!」
「馨ちゃん大丈夫!?」
「今度マジでぶん殴ろ…。」
「悟君酷いよー!」
「ふざけんなバカ!馨の事もっと大事にしろよ!」
「しゃけしゃけ!!」
「体の穴増やすわよ!!」

「まあまあ、これで皆分かったと思うけど、…俺の馨に手ぇ出す奴はどんな手使っても地獄に落とすから。」
「お兄ちゃん、」
「馨、どう今の僕、めっちゃカッコよかったでしょ?」
「も、う、ばかっ!」
「真っ赤になってかんわいい〜!!てなわけで、握手会続けよっか!」

お兄ちゃんの言葉で握手会が再開された。皆さっきの出来事に凄くビックリしていて、私も皆にたくさん心配の言葉を掛けられた。気付くと、目の前に来た黒いスーツを着た男の人が、私にバラの花束を手渡した。受け取ってスタッフさんに預けると、男の人の手を握ってニッコリと笑いかける。

「凄い、綺麗な花束ありがとうございます!」
「…馨、」
「お名前聞いてもいいですか…?」
「…脹相だ。」
「あ、脹相お兄ちゃん…!初めまして!いつもありがとうございます!」
「ぶふっ!」
「え、大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫だ…。それより、俺の「はい、お時間でーす。」待て!俺の妹にな「はい、降りてくださーい。」馨ーーっ!!」

男の人は鼻血を吹き出したままスタッフさんに連れて行かれた。その後、七海君と灰原君とも握手した。2人とも私の心配をしてくれて、私も大丈夫だと声を掛けた。握手会が終わると、イベント参加者全員と写真撮影になって、ステージから私とお兄ちゃん、そしてリスナーさん全員が写るように写真を撮った。

「顔が写ると困る人は顔隠してねー!」
「あとでJwitterとJnstagramにアップします!」
「では3枚撮ります。1枚目です、お疲れー?」
「「サマンサ―!」」

無事にバースデーオフ会は終了して、私達は控室に戻った。傑君と硝子ちゃんも控室に来てくれた。

「2人ともお疲れさま。あの女は逮捕したから、もう大丈夫だよ。」
「馨、具合は?」
「うん、もう大丈夫。2人ともありがとう。」
「これでもう馨に何かしようってやつは出て来ねぇだろ。馨、怖い思いさせてごめん。もう大丈夫だから。」
「うん、お兄ちゃんもありがとう。」
「いえーい!一件落着!」

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