妹に寝起きドッキリしてみた!


「るんるんチャンネルをご覧の皆さん、お疲れサマンサー!皆のお兄ちゃん、悟だよー!今日は僕の可愛い妹馨ちゃんに、寝起きドッキリを仕掛けたいと思いまーす!よっ、拍手!(パチパチパチパチ)」

馨の部屋の前で僕は小声でひそひそとカメラに向かって拍手をした。文字通りの寝起きドッキリだ。馨は早起きが苦手だ。おまけに昨日は深夜の心霊スポット配信をしたから、寝不足で機嫌が悪そう。ゆっくりと音をたてないように馨の部屋のドアノブを掴む。

「くくく…、馨はぐっすりでーす。」

馨の寝顔を映して、タオルケットからはみ出た馨の生足と、キャミソールがずり落ちた肩を映す。こりゃ馨ファンが騒ぐな。

「馨ちゃーん、朝だよー!」
「…なに…、」
「おっはよう、馨ー!寝起きドッキリでーす!」
「……まだねる…。」
「こらこら、学校あるんだから二度寝しない。」
「あとごふん…。」
「…寝ちゃった。」

枕に顔を埋めてタオルケットを抱き枕代わりに二度寝を開始した馨。…僕も寝ちゃお。馨のベッドにカメラを持ったまま寝転がる。馨の谷間が映ったけど、ま、このくらいはサービスだ。

「僕も二度寝します!おやすみー!」

カメラを止めて、馨を抱きしめて目を閉じる。すうすうと気持ちよさそうに眠る馨の寝息を聞きながら、僕も二度寝を決め込んだ。

「ちょっと!!なんでお兄ちゃんまで寝てるわけ!?」
「…あれ、今何時?」
「もう遅刻!!」
「マジ?怠いしサボろうぜ。」
「いやいや、お兄ちゃん夜蛾先生に怒られてるじゃん。私も冥冥先生に怒られたくないから無遅刻無欠席の皆勤賞狙ってんの!!」
「冥先生は金払えば単位やるって言ってた。」
「そういう問題じゃないし!え、なんでカメラここにあるの?」
「は?覚えてねぇの?寝起きドッキリしたじゃん。」
「ハァ!?マジで何やってんの!?」
「再生回数増えるの間違いなしだろ。」
「やだぁ…!」
「ダイジョブダイジョブ。」
「お兄ちゃんの大丈夫は信用できない。」
「つーか、準備は?」
「やばっ!」

バタバタと制服に着替える馨。俺の前でもお構いなしに着替えをするくらい焦ってるらしい。馨の生着替えをしっかりと目に焼き付けて、俺も着替えに自分の部屋に向かう。俺と馨は二人暮らしだ。両親は仕事で海外に住んでる。

「お兄ちゃん私のヘアゴム知らなーい?」
「洗面所ー。」
「…あった!ありがと!」
「ん。」

スマホでJwitterとJnstagramを確認しながら歯を磨く。朝飯はコンビニで買うか。身支度を整えて馨と家を出てタクシーで学校に向かった。

「今日の動画どうする?」
「昨日の買い物動画は今日アップするから、また配信とかでいんじゃね?」
「ぶっちゃけ配信って事故りそうで怖くない?」
「俺はそんなミスしないけど馨がなぁ。」
「事故りにくいやつにしない?あ、晩御飯の買い物から作って食べる配信とかは?」
「それこそ家バレ覚悟だろ。」
「じゃあどうする?」
「別に、家であるもので晩飯作ってみたとかでよくね?」
「冷蔵庫の中見た?」
「見てねぇわ。」
「買って帰ろう。」
「おっけー。」

学校について靴箱で別れると、俺は三年の教室へ向かう。教室に入ると傑と硝子が俺の席の周りに集まっていた。

「やっと来たね。」
「ギリギリセーフだろ。」
「昨日の配信見たけど、アンタマジないわ。馨が可愛そう。」
「結構視聴者受けしたけどな。」
「スパチャって一体どうすればいいのかな?」
「あ?知らね。」
「昨日の…脹相?とかいう人やばかったねー。トータルいくら?」
「あー、25とか言ってたな。」
「ガチ勢かよ。」
「馨のファンが多くて俺も大変大変。」
「そう言いつつも馨をいじめるところが性格悪いよね、悟は。」

授業の合間にもJwitterの確認を欠かさない。時折馨とLIMEで打ち合わせをしながら、学校を終える。タクシーでマンションの近くのスーパーで買い物をして、帰りながら配信告知のジュイート。帰宅してすぐ私服に着替えた。

「配信準備できたー?」
「ん、おっけ。押すよー。」
「はーい。」

配信開始を押すと同時に、JwitterとJnstagramで配信開始の投稿をすれば、また西中の虎とかいうやつが俺と馨のジュイートに反応する。ウケる、ガチ勢じゃん。

「るんるんチャンネルをご覧の皆さん、お疲れサマンサー!皆のお兄ちゃん、悟でーす!」
「お疲れサマンサー!皆の妹、馨です!」
「今日も配信していくよー!」
「今日は兄妹で晩御飯作ってみまーす!」
「イエーイ!」
【西中の虎:今日も配信あんがと!馨ちゃん今日も可愛い!】
「あ、西中の虎さん、今日もコメントありがとう!」
【脹相:俺こそが真のお兄ちゃんだ。】
「あ、脹相お兄ちゃんもありがとう!」
【脹相:¥30,000】
「スパチャもありがとう!でもあんまり無理しないでね?」
「脹相さんはどんどんスパチャしてねー?」
「お兄ちゃん、そういうこと言わないの!」
【脹相:もう一度脹相お兄ちゃんと呼んでくれ!】
「調子乗るなよ脹相!」
「お兄ちゃん!」
【おにぎり:こんぶ!】
「あ、おにぎりさん、コメントありがとう!こんぶ?」
【おにぎり:ツナマヨ…♡】
「ハートもありがとう!」
「ちょっとちょっと、僕のファンはいないわけ?」
【恵:正直馨さんだけで十分です。】
「あ゛ぁ゛ん!?」
「あ、恵君も来てくれてありがとう!」
「そろそろ企画進めようか。今日は二人でご飯作るんだけど、冷蔵庫の中があんまりにも寂しかったんで、買い物してきたよー!」
「じゃあ食材並べよっか!」
【パンダ:おつ。】
「パンダさんおつおつ!」

キッチンに食材を並べていく。馨がカメラを持って食材を映しながら、僕もピースをして映り込んだ。

【西中の虎:悟さんより馨ちゃん映して!】
【モブ女:悟君かっこいい♡】
「あ、コメントありがと。悪いけど僕馨にしか興味ないから。」
「ちょっと、なんでコメント貰ったのにそんなこと言うの!?モブ女さん、コメントありがとうございます!」
「これ何つくんの?」
「あ、私生姜焼き食べたい!」
【恵:馨さんが作った生姜焼き食べたいです。】
「残念。馨の手料理は僕が食べまーす!」
【直哉ちゃんねる:馨ちゃん今日もかわええな!俺のチャンネルとコラボせえへん?】
「直哉どっか行け。」
「あ、直哉君見に来てくれてありがとう!コラボしたいね?」
【直哉ちゃんねる:しようや!】
【モブ女:直哉君とるんるんチャンネルのコラボ見たいwww】
【直哉ちゃんねる:こらコラボするしかないやんな?】
「しないよー。断固拒否!」

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