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「きっと、後で後悔するのはまーくんの方だから」


軽々しく頷いたらだめだと蒼はいう。
そして、俺にこれ以上嫌われたくないという。

どうしてそんなことを言うんだと尋ねてみても、彼は困ったように何も言わずに微笑むだけだった。

”後悔”の、その言葉の意味もよく分からなかったけど。

…とりあえずこれ以上蒼の、その困ったような表情をさせたくなくて、一応うんと頷いた。


「……」

「………あおい?」


その後何も言わず、ただ俺を抱きしめる蒼に声をかける。
ただ感じるのは彼の身体の体温と、…その吐息だけ。
離れることを躊躇うように、ぎゅっと強く抱きしめられる。

そして、その一瞬後、蒼は息を吐いてゆっくりと身体を起こし、俺の手足の鎖の鍵を外した。

カチャリと音がする。
ジャリと音を立てて鎖が外れた。


「とりあえず、お風呂に行こう」


まーくんも俺もぐちゃぐちゃだから。

なんてことないように微笑んでそう言葉をつづける蒼に、頬が熱くなるのを感じながら小さくうなずいて身体を起こそうとする。


……でも、


「…うん…わっ、」


いつまでたっても慣れない。
頷いた瞬間、膝裏と脇の下に手を入れられて軽々と抱き上げられる。
ふわりと足が浮いて、安定しないこの感覚。
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