…ただ、傍にいたかった。1

***


「……ん、ぅ……?、」


…眠たくて仕方がない。
ふわふわした気持ちで、重い瞼を持ち上げる。

…と、


「………っ!」


すぐ目の前に蒼がいて、その至近距離の綺麗な顔に呼吸が止まりそうになった。
丁度俺の動きで目が覚めたようで、視線が絡み合う。


「おはよう、まーくん」


そういつも通りに笑う彼の顔に、昨日の弱々しい面影はない。

…いつもの、蒼だ。

少しだけほっとして、でもくちゅりと蒼が後孔でソレを動かすから、ひっと小さく悲鳴が上がった。

(そうだ…、昨日挿れたままだったんだっけ…)

やばい。精液もかきだしてないから、お腹痛くなったらどうしようと一瞬怖くなった。
いつもは蒼がいつの間にかお風呂に連れていってくれて、洗ってくれてたけど。

…そして、今の繋がったままの状況を考えると、なんだかこみ上げてくる羞恥心に居たたまれなくなる。

ああ、もう、なんで昨日頷いたんだろう。

すごく、恥ずかしい。



「…ぁ…う…、お…おは、よう…」

「…うん。」


でもやっぱり、いつもと何か違う雰囲気で頬を緩めた蒼に抱きしめられて違和感を覚えつつも照れくさいという気持ちの方が勝って、思わず視線を逸らした。

すぐに俺の後孔から蒼の性器がずるりと引き抜かれる。


「ん゙…っ、んぅ…っ、」

「本当は、今すぐにやりたいけど」


欲情したのか、でかく硬くなった性器。
見てすぐにわかるくらい勃起しているのに、彼はそれを隠すように着ていた着物を被せた。
残念そうに、そして辛そうな表情で吐息を零し、見上げる俺の髪を優しく撫でてふわりと微笑む。


「もう、これ以上まーくんを傷つけたくないからしない」

「…べつに、」


いいのに。

と、言いかけると彼の指が言葉を遮るように唇に当てられる。
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