7



そう思って目を開けた瞬間。


「…っ、」


視界が暗い。
それと同時に、すぐ目の前に瞳を閉じた蒼の顔があることに気づいた。
ちゅ、と音がして唇に触れるやわらかい感触。


「いたずら」


そんなことをとても嬉しそうな表情で言う。
ふ、と本当に意地悪げな表情で口角を上げて離れていくから、うう…と何も言えずにそっぽを向いた。
なんか、今日の蒼はやけに甘ったるくて、やりづらいというか。

…なんか変だ。


「まーくん、照れてる?」


そう言って笑う彼に、「…そんなことない」と、とりあえず言葉で否定しておく。
今の自分が赤くなっていたかは、正直よくわからなかった。

…ちょっとだけほっぺが熱い気はしたけど。

その後、身体を洗ってもらってから浴衣を着せてもらう。
慣れたように手間取ることなく、自然な動作で着せてくれた。

だけど。


「……」

「ごめん、ちょっとだけだから。待ってて」

「……うん」


その後、また抱っこして部屋に連れていかれて、当たり前のように手枷を手足につけられる。
カチャリ、と鎖の鍵をかける音がした。

そして部屋から出ていった蒼の姿を思う。


(…もう、こんな関係じゃなくなったと、少しは期待してたけど)


「…やっぱり、気のせいだったのかな」


声に落胆の色を隠せない。
……昔の蒼に、戻ったって感じたのはやっぱり、…俺の勘違いだったのかもしれないな…。
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