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慣れているように巧みなキスで思考が持っていかれる。
どれだけしたのかと思うくらい濃厚な口づけを繰り返した後…ゆっくりと唇が離れた。顎に零れた唾液を拭い、呼吸を整えていると薬のようなものを飲まされたことを思い出し、さ――っと青ざめる。


「…っぁ、?!や…っ、だぁ…っ」


ふるふると首を横に振る。
…しかし、飲んでしまったものはもう遅い。

ズクン――ッ、

身体の奥が一瞬で熱くなる。
口の中の唾液が、下腹部の熱が、震えが、全身が異様なほどの快感に襲われて息が詰まった。

ヴヴヴ…ッ!!


「…っ、はぁ…っ!ふ…っ、ぁあ゛あ゛ああ…っ!やめ…っ、ぁ、ぅゔゔ、っ、ァァぁあ゛…――っ?!!」


頭がおかしくなる。狂う。壊れる。

いきなり後孔に入ったローターが強い振動になって、言葉にできないほど強い尿意と射精感に襲われた。
それに、性器の根元の裏側の敏感な場所に当たるように固定されてるせいでブブブと肚のナカで振動し、悶えるほどゴリゴリ狭い肉壁を擦り上げられる。


「なり…っ、らんか、いつも、と、りが……っ、」


今回のは前回の比じゃなかった。

身体が燃えているように熱い。
ドクドクと異常なほどに脈を打つ性器が、射精できないせいで物凄く痛い。
痛くて、苦しくて、ぼろぼろと涙が出る。


「…っ、ん…っ、は…ッ」

「積極的なまーくん、可愛い…」


口を塞がれて、舌を絡められれば
それさえも性器を刺激する要因でしかなくて、縋るようにその舌に貪りついた。
飲みこめず、溢れた唾液が口の端から漏れる。


「ふぁ…っ、あお…っ、あおい…っ」


絡め返した俺に驚いたのか、一瞬動作を止めた蒼がふ、と目を細めて、絡めようとする俺の舌を奪うように捕らえた。ぬるぬる擦る感触が凄く気持ちいい。もっと欲しい、もっとしてほしいとねだり、首に腕を回した。


「イキたい?」


そう笑う蒼にこくこくと頷く。
嬉しそうに微笑むその顔に、悔しいとか、ムカつくとか考える余裕もなくて。
目の前の服にしがみついて縋った。


「あおい…っ、おねがっ、イか、せて…っ」


その言葉に、蒼は綺麗な顔をこれ以上ないほど嬉しそうに歪ませた。
後ろを向かされてズボンを下ろされる。
カチャカチャとベルトを外した後、軽く布擦れの音がする。

俺の腰の装着物が解除され、「ぁ、ゔ…っ、」埋め込まれていたローターをずるっと引き抜かれた。
身体を固定するように腕に腹を抱かれ、

ぐちゅんっ、


「ぅぐっ、!ぁぁ゛ああっ、!」


瞬間、下から捩じ込まれた熱に突き上げられた。
後ろから強く抱き締められ、俺の体重も加わってお互いの身体が限界まで密着する。
性器を根元まで咥え込んだお腹を実感させるように腹部の上から指でぐりぐりなぞられて身をよじった。

ビクッ、ヒクッ、ピクッ、


「ぁ゛っ、ひ…ぅ、あ゛……おぐっ、つぶ…れっ、」


一突きごとに脳天に快感が走り抜け、痺れる。
でかい性器が幾度も容赦なく、どろどろに溶けて小さく痙攣を繰り返す肉襞を割って入り、肚を埋め尽くしている。

さっきまで挿入されていたローターのせいでどろっどろに蕩け、熱くなっている肉壁を下から押し上げるように捩じ込まれた肉棒全体に掻き回され、ヒクつき、吸い付く襞を擦り上げられれば、ガクガクぶるぶると痙攣した。
涎が零れ、膝が震えて倒れそうになる。


ずぼずぼっ、パンパン…っ、ぐりぐりっ、


「嗚呼もう、蕩けきった顔…最高」

「っ゛ぐぅっ、ぁ゛あああぁッ、は、あぐっ、あたま、痺れっ、ちゃ、ぅ、ぅう゛っ、」


トロトロに蕩けた柔らかい奥深くを何度も何度も押しつぶされる。

泣き声を上げるほど速く、奥深くをなぐってくる太い肉棒の突き上げによって、尻が持ち上がり、さらに深い場所を抉る。甘く痺れた感触が腰全体から脳をびりびりと侵食した。

蕩けきって熱すぎる肚をギチギチに埋め尽くしている男性器でナカを掻き回そうと、自ら淫らに腰を激しく揺さぶってしまう。
摩擦しあう結合部がグチュグチュぬぢゅぬぢゅ鳴っている。膝から力が抜けそうになりながらも股間同士を執拗にぶつけられ、頭がばかになりそうな快感が背筋を幾度も駆け抜ける。


「…っ、ん、ん゛…っ、は…ッ、」


肉がぎゅううとしまって、蒼の性器に絡みつき、とめどなく締め付けた。
息が詰まって、唾液がだらしなく開いた口の端からこぼれる。


「…っ、まーくんのナカ…熱くて溶けそう…、嬉しそうにビクビク震えて締め付けてくる…」

「ぁ゛…っ、!ぅぐっ、は…っ、ぁア゛…ッ」


駄目だとわかってるのに、あまりにも強い快感にみっともない声が抑えられない。

……なのに、思うようにイケない。腰を振りながら夢中で性器を触っても、それなりの絶頂感はあるのに出せない。精液が、…解放されない。

脂汗が滲み、ぼたぼたと流れる。
こんなに身体は感じているのに、性器が縛られてるせいで、射精することができなくて。


「な、なんれ…っ」

「ん?」

「か、ぎ、…っ、はずひて…っ、るれな…っ、ぁあ゛…ッ」

「はは…っ、もう呂律回ってないよ。そんなに気持ちいい?」


尻たぶをぐっと掴まれて、肚のナカに挿入された性器に擦り付けるように揉まれた。
揉まれた後孔の中で孔の形に構わず動かされ、容赦なく蒼の濡れて硬くなった性器がめちゃくちゃに肚の奥を突く。パンパンパンパン、根元まで打ち付けられて犯される。

崩れ落ちそうになると、腰に腕を回され、抱き寄せられた。

やや下から斜め上に突き上げるように激しいピストンを繰り返され、更に深く挿入してくる。


「ん゛んぅ――ッ」


電流みたいな快感が身体を駆け巡って、膝から崩れ落ちそうになるとまた腰を持って支えられた。
痙攣する腸の内部は性器全体を揉み扱くようにうねり、締め付けながら吸い付く。


「ぁ、ひ、ひ…っ、ぅ……イひら…っ、くるひ…ッあお…っ」


理性なんてぶっ飛びかけている。涎を垂らし、文句を言う。
射精できないように性器を締め付けているリングが食い込んで泣きたいほど痛い。

さっきイかせてくれるって言ったのに、なんで…、そう訴えるように蒼の方に視線を向けるとにこりと意地悪げに口角を上げる。


「イかせるとは言ってないけど?」

「えっ、いひ…っ、ぅ゛あ――…ッ」


その言葉に血の気が引いた。

瞬間、わざと前立腺を捏ねり擦り上げるように強く、尻に腰を打ち付けるけたたましい音とともに奥壁を怒涛に突き上げられる。熱いマグマみたいな肚のナカが、一際大きく脈打ち、泡立つ。


「ぅ゛ぁあああッ、!!ぁ゛っ、あああ!!!も、や、に、ゃ゛ぁぁあああっ、!!」


縛られているせいで逃げ場を失くして抑え込められた性器を逆流するような精液の感覚。
押し潰されまくり、犯され続ける肚の中がじゅんじゅんブルブル痙攣して途方もなく口から零れた唾液が顎を伝って落ちた。凄い快感に涙も鼻水も涎も全部ぐちゃぐちゃで、ぎゅー、びくんびくっって締め付け、ぶるぶる内腿が震える。下腹部がヒクヒク震えて熱を持つ。

きもちいい。

イッてる、壊れる、こわれてる、

もっとちゃんと、イきたい…っ、イきたいっ、

せいし、精子もびゅってして、じゃないと、……っ、

俺、ほんとに『男』じゃなくなっちゃう、みたいで…っ、


辛うじて残った理性だけが、嫌だ嫌だと訴えていて。
そんな声も最早聞こえなくなろうとしていた。

ただひたすらに、ぬるぬるひくひくと疼き続ける内壁を掻き混ぜられるように捩じ込まれ、飢えた獣のように繰り返される行為に、意識が朦朧とする。


「まーくん」

「ぁ゛っ、ぁ゛、ひっ、ぁっ、に…っ」


ひくんひくんっと肉棒を締め付けながら痙攣する俺の頬を後ろから撫でられる。
ちゅ、と首筋を唇が這う。
そのくすぐったいような感じに、身体がびくっと震えた。
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