3

***

帰り。

人がいなくなるのを待って、はっきりと言った。


「俺、やっぱり俊介とは友達でいたい」


真剣な俺の言葉に、俊介がさっきまで笑っていた顔を真面目にする。

授業中に考えた。

ずっと考えて、考えて、ひたすら考えたけど、最終的にはやっぱり俺には友達っていう関係が変わるのは嫌だと、その結論に達した。

今まで付き合っている人を何人も見てきた。
でも、付き合ってしばらく幸せそうだけど、しばらくしたら別れてお互いに気まずくなったり嫌いになったりして会わなくなる。

片方がまだ相手のことを想っていても、相手に会うのを拒まれてしまう。

…友達なら、そうやって気まずくならずにずっと一緒にいられるから、ずっと友達でいたい。

だから、俊介と友達でいたいから付き合いたくない。

そう口にすれば、俊介はじっと俺の顔を見て、ショックな顔をするどころか何故かよしよしと俺の頭を撫でてきた。


「へ、何?」


とびっくりして目を見開けば、「…いや、なんつーか、めっちゃ変な顔してたから」と俊介は言ってその言葉にきょとんとする。
「変な顔?」と聞けば、すごく複雑そうな表情をして「変な顔」と繰り返された。


……どんな顔してたんだろう。

わからずに首を傾げる。
でも俊介が俺の方を見ているのに気づいて、ちゃんと真剣に言おうともう一度ちゃんと頭を下げて謝った。


「…ごめん、なさい。」


そうやって付き合ってって言われることは自分が、その人に嫌われてないんだとわかるから。
嬉しくないかと言われれば、多分嬉しかった。

…もしかして俺が女だったら付き合ったりしてたのかな。

でもそんなことを考えてもありえないことなので、意味がないことだってわかってる。
それよりも胸が、心臓が、どきどきして、苦しい。
俊介とはずっと友達でいたいと思ってるからこそ、こうやって断った後にどんな反応をされるかが一番……怖い。


「はは…っ」


でも、俺の緊張を吹き飛ばすように、俊介はぶはっと吹いた。
prev next


[back][TOP]栞を挟む