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「へー、そんな大事なモノなんだ?」


後ろから抱きしめてくる男の、耳元でする面白がるような声にしまったと思ったけど、もう遅い。

失くさないようにって、いつも家でしかしてなくて。

…なのに、板本君の電話で、頭が真っ白になってはずしてくるのを忘れてしまっていた。


「は、笑える」

「ぁ…っ」


他の不良に乱雑にネックレスを放り投げられた。
それを見た男が、にやりと口角を上げながら告げる。


「何見てんだよ。ぶっかけてやった精子”お肚に入れて孕みたいです”くらい言えよ」

「っ、…そ、んな、」

「まぁどっちにしろ、今から肚に挿れて精子ぶちまけてやるんだけどな」

「…っ、ぁ、」


言葉の、意味を理解する。
したくない。
そんなはずない。
俺も相手も男なんだから、そんなはずない、って、
こんなこと、されるわけないって、


ふるふると、微かに首を横に振って、けれどそれで止めてくれるはずもない。
少しでも後ずさろうとすれば足を掴まれ、強引に股を開かされる。
その、開いた股の間にいる男が、にたにた笑いながら俺を見下ろしてて、


「っ、…いや、だ、」


(無理だ、絶対に、怖い、嫌だ、無理)

もがく。こんな状態になっても、抵抗しようとして、

…少し離れた場所で、首元に刃物を当てられている板本君と、目が、合う。
酷く怯えた表情で、顔は殴られた痕だらけで、


「なぁ、真冬クン…今、自分がどんな顔してるか、自覚してる?」

「……ぇ…?」


にちゃ、と唇の端を上げた男が、ほくそ笑む。
赤らめた顔と、荒い息遣い。
下半身に反り立つモノが液を垂らしているのが目に入ってぞわっとした。


「すっげーそそる顔してんの。孕ませたくなる表情っつーか、もう”そのためにできてる”としか思えねーや」

「…っ、」


ふざけるな、とこんなことされるために俺はいるわけじゃないと抗議しようとして、ぐっと後ろから両手首を掴まれ、抱き締められた。


「…っ、は、離し、」

「おーよしよし。怖くないでちゅからねー。今から真冬クンの大事なトコ…グチャグチャにするんだけど、動くと痛くなっちゃうから、ハグハグしてあげるね。」

「っ゛、…や、」

「俺の体温で安心するでしょ?あー、やべ、ザーメンでめちゃくちゃになってるけど真冬クンは良い匂いするー、俺も早くぶちこみてーガンガン突いてアンアン言わせてぇー」

「…っ、ぁ゛、う、」


ぺろぺろ舌で後ろから首筋を犬みたいに舐められて、しかも男達の一人に、無理矢理開かされている股の間でだらりと垂れさがっている性器の先端を舐められ、ビクビク腰が揺れる。
濡れる身体とその不快感のある息遣いにも全部、全部が嫌で、今からされることを想像させられて涙が零れる。


「本当はさ、挿れるなって言われてんだよね」

「けど、君の合意が取れたら話は違うだろうし、どうせなら今君が会話できるうちにしときたいからさ」その目が笑っていないのを見て、余計に血の気が引く。


「友達は全部終わったら解放してやるから、これからしばらくの間俺達の中出しOK肉便器になってくんない?」

「…っ、何、それ…」

「これ、誓約書。裏の組織で使われてる正式な書類だから、遊びじゃないぜ。お友達はしばらく監禁状態になるけど、暴力は振るわない。けど、お前が俺達の命令に従わなかったり、中出しセックス拒否した瞬間にお友達は殺す」

「――っ゛、」



何を言ってるのかわからない。
しばらくの間…?中出し、セックス、を拒否したらって、頭が、おかしい。狂ってる。
なんで…俺が、
そんなの、絶対に嫌に決まってる。

良いわけない。
頷けるわけない。
それに、それは板本君を助けないということにもつながるから、簡単に首を横に振ることは躊躇われて。

じゃあ、了承するのか。

でも、そうしたら、俺は、


(…嫌だ、嫌、なのに、)


…俺は、誰かの迷惑になってはいけない。
負担になってはいけない。
嫌われたくない。

昔からの呪いのような感情が頭を占める。

何かわからないものに、こんな時にまで脳が占領される。

だから、…だったら、だけど、



「”友達”と”自分”、真冬クンはどっちを選ぶ?」

「…っ、」



その問いに、頭が真っ白になって何も考えられない。
気づけば、条件反射のように、声が口から零れていた。



「……友だ…」


「―――へぇ、”友達”のためにそんなことまで出来ちゃうんだ。すごいな、まーくんは」
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