実験 (椿ver)

一度市川に犯されかけただけあって、随分怖がっているらしく身体が小刻みに震えている。
ただでさえ顔色の悪かったところに、さらにそこから血の気が引いていることが見てとれた。

……そんなに怖いと思ってるくせに、コイツは市川とセックスするという行為より、俺に捨てられる方が嫌らしい。

本当、面倒くさいヤツ。ばかか。

(蒼とも約束しちまったし、これが終わったらちゃんと解放してやるよ)

まぁ、そんなこと家畜に言ってやるわけもないけど。

何故か気味の悪い気分が胸中に広がっていく感覚に耐えられずに、瞼を一度強く閉じて気持ちを切り替えた。


「市川、後は勝手にやってろ」

「はーい」

「…っ、ぁ、ごしゅじん…さ…や、だ…っ、おいていかない、で…!!ぁああ゛…っ」

「ほら、ご主人様は忙しんだから困らせちゃだめだよー?」


ノリノリな笑みを浮かべる市川が、俺の方に必死に手を伸ばす家畜の服を脱がし始める。
叫ぶ声に滲み恐怖と涙の色が強くなった。

このまま俺が出ていけば、途中で逃げたくなっても鎖で手足を繋がれたコイツはこの状況から逃れることなんかできない。

途中で俺に嫌われてもいいから逃げたい。
そう思ったって、家畜には手足の鎖がある限り逃げることなんか不可能だ。

これ以上見ていても仕方がないと、その光景から目を逸らして、ドアの取っ手に手をかける。


(……)


ふいに脳裏にある光景が蘇って、ぴたりと動作が止まる。
伏せた瞳で、じっと取っ手を握る手を見た。

…このまま何も言わずに出ていってもいい。

そうすれば、多分何事もなく、市川は家畜を犯して満足するだけだ。
それもそれで面白いかもしれない。
犯された後、そこらへんに転がされてまた泣き続ける家畜を蒼に見せてやれば十分アイツを傷つけられるだろう。


……だが。

一瞬躊躇ってから、振り返った。


「家畜」

「…ん…っ、ぁ…ッ、ひ…っごしゅ、じん…さ…ッ」

「もー、椿様ってば、邪魔しないでよ」


家畜のケツに指を突っ込んでぐちゅぐちゅと水音を鳴らして遊びながら、その肌を舐めていた市川が不満そうに顔を上げてこっちを見るが、それには返答を返さずにギリ、と歯を噛み締めた。
じっと俺の命令通り、市川にされるがままになっている家畜に苛立つ。

ばっかじゃねーの。

(…本気で抵抗しない気かよ)

それならそれでも構わねぇ。

けど、俺はそんな家畜の姿を見たいわけじゃなかった。

そんなのを見たいんだったら俺がコイツを犯せばいい。
何も市川である必要はない。
ただヤられるだけの家畜が見たいなら、俺が無理矢理その穴にぶち込んだって良かった。

一度突っ込まれそうになった経験があるからこそ、家畜にとって市川は他の男よりも自分に危害を加える存在だという認識が強いと思った。恐怖が強いと思った。
だからわざわざ市川を選んだっつーのに。


(………)


恐怖して、絶望する姿を見るのは良い。
むしろ最高だと思う。
だけど、今はそこで終わられたらつまんねぇんだよ。

身体を震わせて泣きながら、それでも市川のチンポを手で握らされて無理矢理扱かされている家畜に目をやって、軽く舌打ちする。

家畜に声をかけようと思ったが、やめだ。

視線を移す。


「市川」

「んー?」

「…ぁ゛…っ」


後孔のイイところに指があたったのか、家畜がビクッと跳ねて欲を吐き出した。
イッたばかりでも容赦なく笑いながら上下に扱かれて、やだと言うわりには厭らしい啼き声を零している。


「ソイツ首絞められんの好きだから、限界まで絞めながらセックスしてやれよ」

「え…っ、何?真冬くん、そういう性癖なの?!」

「…っ、ひ…ッ、や、…!ちが…ッ、んぅ…!」


歓喜に目を輝かせる市川から目を離す。

焦ったような声を上げてそのことを否定しようとしたのか、言葉を言おうとして。
でもすぐに唇を塞がれて言葉を出せなくなった家畜を見て、軽く笑いながら今度こそ扉を押し開いて出ていった。

ーーーーー

これは、ただの気まぐれな実験。

別に何の意味もない。
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