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……

………………


今自分がいる場所がわからない。
…ここにどうやって来たのかさえも覚えていなかった。


ぽつり、と暗い空から降ってきた滴が頬にぶつかって顎から床に落ちた。
虚ろな瞳で上を見上げる。


(…俺、今までなに、してたっけ…)


不意に動き出した思考が、のろのろと記憶を呼び起こしてくる。
視線を下に向ければ、くしゃくしゃに乱れて…少し汚れた制服のワイシャツ。


…何、した…


俺、は、    まーくんに、


何   を…


っ、



「…っ、何、やってんだ…ッ、本当…っ俺は…」


残っている。

触れた体温が、熱が、温もりが、感触が…
脳裏に、泣いている顔が、


全部…残って、


「…ぁ、」


微かに零れ出た音。
震える腕をぎゅ、と強く掴む。


「―――――――――――――ッ!!!!!!!!」


声にならない絶叫がどこかから聞こえてくる。

それが自分の熱を帯びた喉から出たということすら判断できなかった。


まーくんに、…俺は


「…は、……はは…っ」


こんなの、笑うしかない。


夢に描いていたものを、自分の手で滅茶苦茶にした。


喉の奥が熱く震える。
雨に濡れて重くなった髪を無造作に垂らしまま、壊れたようにただひたすら唇の端を歪めて掠れた声で嗤った。

―――――――

ぐちゃぐちゃに溶けた理性はもう止まることを知らない。
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