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それと同時にどうしようもないほどじわーっと身体の奥が熱くなって、何故か涙が出てきそうになる。
鼻がツンとなって、しかも瞼が熱いせいで視界が滲みそうになる。
…あばば…やばい、から、なんとかしないと。
泣いたら、またくーくんに迷惑をかけてしまう。
気づかれないようにと、さり気なく浴衣の袖で滴を垂らし始めようとした目を拭った。
「あ、えと、と、そうだ…!おれ、あのお布団ぐるぐるごっこがしたい!」
「…あんまり無理しない方が良いと思うよ。怪我してるんだし」
「だいじょーぶ!」
ゴロゴローと猫みたいにくーくんに抱き付いておねだりするように顔を見上げれば、仕方ないなぁと苦笑交じりに笑って布団を出してくれた。
「おりゃ」とそこに飛び込んで身体に巻き付ける。
絶対涙ぐんで変になっている顔を隠れるほど頭の上まで巻きつけて、まだ痛い身体に気をつけながらコロコロコロぐおーとローラーみたいに回転した。
ごろごろ。
ごろろろ。
しばらくそうしていると、次第に涙が引っ込んでいく。
うおー良かった、と安堵してコロコロ。
顔や手に触れる白くて綺麗な布団。家で使ってたのはもっと汚かったから冷たくて、すべすべで凄く気持ちいい。
…と、
「あれ、」
途中でうまく回転できなくなった。
ぬぽっと丸まった布団から顔を出してキョロキョロと周りを探す。
何かが布団の回転の邪魔をしているようだった。
その原因はすぐに見つかって。
「くーくん!木が布団にひっかかってできないー!」
「うーん…それはどうしようもないから、諦めてもらうしかないな」
「やだ!ぜったいにやだ!」
家のはつるつるしてたから凄い速度で回転できたのになー。
意地でも畳になんか負けるものか、ともう一度すぽっと顔を埋めてから床を擦る勢いでぐるぐる回転する。
しばらくやっていると「うぷ」と回転しすぎて酔ってきたので、回転をやめてのそのそと布団から出た。
楽しい。満足した。
「づかれたー!」
「はは…っ、お疲れ様」
「うん。ぎゅー」
図書室で読んだ漫画みたいに親に甘える子どもみたいな感じで飛びつきながら、にへらーっと笑った。脚をばたばたさせて、抱きしめてもらう。
「ね、おれのぐるぐる上手かった?」
うまかったってなんだ、と自分でも呆れるような台詞に内心ツッコんでいても、くーくんはうざがったり怒ったりしないで頭を撫でてくれる。
「うん。まーくんは凄いな」
「っ、でへ、えへへ…」
優しく笑ってくれて、触ってくれて、褒めてくれて、
くーくんだけが、
「……まーく、ん…?」
「…へ、へ、…っ、」
笑おうとして、声が段々上擦っていく。
それでもうまく笑おうとして、結局唇におちてきた液体のせいでできなくなる。
「……ッ、ひ、」
「どうかした?どこか痛い?」
引っ込ませようとしても、知らない間にぼろぼろと零れ落ちてくるから、もう止められなかった。
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