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上顎や口の内壁に彼の性器が擦れる度に吐きだしそうになってしまう。
けど、それを堪えて、喉奥まで咥えて彼に気持ち良くなってもらうために角度を変えながら特にくーくんがびくってなるところを攻める。
トロトロと口の中に流れてくる液体に、ゾクゾクする。

陰嚢をもみもみと揉みながら、舌先で裏筋を擦った。



「…っ、は、」


頭の上から、聞こえてきた声。
髪を掴む力が一瞬だけ強くなる。


(……掠れた、甘い声)


意識するよりも前に、身体に痺れるような感覚が走った。
四つん這いになっているせいで、ぶらぶらと揺れていた性器からこぽ、と精液が零れる。
お尻がぶるっと震えた。


…「は、ふ…っ、」と咥えたまま、少しだけ息を整える。
でも、こうしてはいられないとすぐに左手で陰嚢をくにゅくちゅと刺激しながら、チロチロと亀頭も余すところなく舐めて、

…チラリと目線だけを上にあげると、



「…まー、く…っ、」

「ッ、」


戸惑ったように、その快感に耐えているような表情に、下腹部がやられた。


(…見てるだけで、また出そう…)


ぶらぶらと揺れていた性器が、見なくてもわかるほどカッチコチになる。
…ぽとりぽとりとその自身の先端から精液が大量に床に零れているような気がする。
再び性器に集まる血液に、うう、と生殺しの気分を味わって脚をもぞもぞとさせた。

けど、そんな気分の頭の中で叱って、目の前に集中する。
口内の唾液の量を増やすように意識しながら、亀頭を口の中の壁に擦りつけてじゅぼじゅぼした。尿道の部分を舐めたり、口でできないところは手で刺激したりする。


覚えている全部の技術をフル活動した。



「…ん、ちゅ…っ、ふ…っ、ひっぱい、れれひた…」

「…っ、は…っ、ぁ…っ、」



上から聞こえる彼の艶めかしい声。
舌を出して、下から上に舐めあげる。

…きもちいいなら、素直にそう言ってほしいのに。

けど、彼は何故か必死に抑えようとしているらしく、…甘く震えているのに、声は小さくて


「…いい、って、」

「…っ、んちゅ、ん…っ、」


まだ抵抗するか。

…そんな姿に、余計にムキになる。

絶対に逃がしてたまるものか、と彼の腰に腕を巻き付けて喉の奥まで咥え込んだ。



「…――っ、は、」

「…ん、ん…っ、ふ、」


(ふっふっふ。これで逃げられまい)

…これはこれでおれが体勢的にも、喉とか呼吸的にもすっごく苦しいけど。

びくっと今まで以上に腰を震わせたくーくんの反応に満足する。
もっと沢山感じてほしくて、頑張って舌の動きを激しくしてみた。

カリを舐めたり、尿道辺りをはむはむしたり。

…いきりたっていた彼の性器はすぐに先走りを分泌した。
口の中でぐちゅぐちゅと音がする。


(…一応、…ちゃんと気持ちよくなってくれている…のかな。)


益々硬くなっているのを感じて、嬉しい。

それから、やっと観念したらしく頭から離された手。
おれも腰にまきつけていた腕を離して、目の前のくーくんのモノに専念する。


……そうして、口腔内で弄っていた性器がビクビクッと一際大きく震え始めた頃、


「…っ、まー、くん」

「…はふ…?」

「…ちょっと…、…っ、くち、あけて」

「…?」


…少しだけ息を荒くしている彼が、そう言葉を零した。
聞こえてきた言葉に呆気に取られてぽかんとしていると、口のナカから性器をするりと抜かれていく。



(……へ?)


抜かれようとするときに自然と舌や吐息が彼のモノに触れて、それだけで辛そうに顔を歪めた。

ぽたりとその先端から零れて舌に残った汁を飲み込む。

なくなった圧迫感に呼吸は楽になるけど、その行動の意味が理解できない。


それから、


「…え、っ」


彼は頬を上気させた余裕のない表情のまま、おれの腕を掴んで、

乱暴に床に放り投げた。
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