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「…っ、ふへ、へ…」


すーっと舌を滑っていく感覚にひくひく身体を震わせていると、



「…目、開けて」


その声に従って、くすぐったさに耐えながらおずおずと目を開いた。
瞼の隙間から涙が零れ落ちる。


「嗚呼、忘れてた。せっかくここにいるんだから、アイツも参加させてあげようか」

「っ、…?」



(アイツ…?)

その言葉の意味がわからず、不安で、おれじゃない場所に向けられた視線の先を見ようとしたけど、舌に触れてる指に顔を固定されててびくともしない。



「なぁ、椿。どうする?」

「……どうするって、何がだよ」


後ろじゃなく、さっきくーくんが来る前までずっと向いてた方から聞こえた不機嫌そうな声に、思い出す。

(…そうだった。他に人がいるんだった)

むしろどうして今まで忘れていたのか。

犬みたいにまだ舌を出したままの自分がどう見えてるか想像したら、とてつもない羞恥心に駆られた。

(…お、おれ、ぜったいへんなかおして…っ、)

催眠術にかかっていたような気分から目が覚めた感覚になり、急いで口を閉じようとした。

けど、


「…っ、へ、う゛…っ!?」


突然、舌を軽く引っ張られる。
ちぎれるかと思った。


「だーめ。まだ戻して良いって言ってないだろ」

「…っ、へ、へも…」


恥ずかしい。それに今の結構痛かった。
ただでさえさっきのキスで上気した頬に加え、涙を流しながら舌を出している…だらしない顔。
会話してるこの間も、たえずおれの舌と、掴んでるくーくんの指からは唾液が伝って落ちていて、


「…〜っ、ら、!」


…大好きなくーくんに見られてるのすら恥ずかしくてたまらないのに、まったく知らない人に見られてるなんて嫌だ。

嫌だと訴えるように、羞恥心から軽く視線を下に向ける、




「…へぇ…」

「…っ、」

「やっぱりまーくんは、コイツを男として意識してるんだ」


更に低くなって、声は怒りを通り越した無機質なものに変わる。
その表情の変化に、背筋がゾッとした。
びくっとして固まったおれに、「…そっか」なんて、くーくんはひとりでに納得したような顔をする。
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