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ガラリと扉を開けて、視線をベッドに向ける。
「あぅ゛…っ、んん゛、ぅ、う…ッ、」
ベッドの上には、オモチャに弄ばれている愛しい姿。
……手足を鎖で繋がれて、目隠しをされて、ビクビクと何度も身体を痙攣させている。
透き通るように綺麗な白い頬を、興奮で快感で赤く染めて。
いつも俺のモノを受け入れる後孔では、グロテスクな形をしたバイブを根元まで咥え込んでいる。
言葉では形容できない程、卑猥で、魅了される。
……嗚呼、綺麗だ。そして、可愛くて、とても美しい。
俺だけの、俺だけの大切なお姫様。
誰にも渡したりなんかしない。
もっと俺に縋って、泣いて、傍にいることを望んでほしい。
俺のことだけを考えて、想ってほしい。
その汗を含んだ柔らかな髪に触れて、頬を緩めた。
「まーくん」
「…ッ、あお゛、い…っ、ぁ…ひ…ッ、ぐ…っ、ぅ、ゔ…っ、ぁあああ゛…ッ」
気持ちよすぎるのか、うまく舌が回らないのか、大量の唾液がまーくんの小さな唇の隙間から頬に零れ落ちる。
俺の声に、弱々しく、それでも反応するまーくんが嬉しくて。
俺の名前を呼んで、俺の姿なんか見えないのに必死に声がするほうに手を伸ばそうとしてくるまーくんが愛しくて。
悲しくて。
苦しくて。
憎くて。
壊したくて。
許せなくて。
寂しくて。
ふ、と笑みをこぼして、その頬に口づける。
熱をもって、濡れたやわらかな感触。
汗と涙の味がした。
「……ごめん」
『でも、あきらめて』と耳元で囁く。
呼吸を荒くして、きっとこっちなんて見えてないだろうまーくんに、笑いかけた。
…俺には、これ以外の方法が思いつかないから。
「いっそ、殺しちゃおうかな」
一瞬、目が真剣になるのが自分でもわかる。
それもいいかもしれない。
誰かに奪われるくらいなら、いっそ自分の手で。
…結構本気で考えてから、すぐになーんてな、と冗談めかして笑ってみた。
――――――――――
(この感情を、)
(”愛”だと言えたなら)
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