蒼以外を見ることなんて、許されない 1

***


「…っ、ん゛、ぐぅ…ッ、」


声なんて出したくないのに、厭な音とともに強引に捩じ込まれてびく、びくんっと身体が痙攣した。
結合部はグチャグチャで、奥をごりごり押し上げながら密着する股間に泣いて身を捩る。


「なぁ、まーくん。アイツ、俺のまーくんに色目遣ってたよな?」

「…っ゙、…そ、ん゛な゛こっ、ぁ゛…っ、な…っ、ぅ、ゔ…っ、」


言い終わる前に、腰を引いて打ち付けてくる。
でかい肉棒で無理矢理後孔をその形に拡げられて、ぐちゅっぬぢゅっと耳を塞ぎたくなるような音を鳴らして抜き差しされる。
律動するたびに見え隠れする蒼の竿は先走りだけでなく白くドロドロの液にも濡れていて、既に何度かの射精の跡を残していた。角度を変えて細かく腰を動かされ、奥をノックされるたびに腹の奥に、頭に響く。溶けそうに熱く絡みついているナカの襞を音が鳴るほどに拡げ、擦り上げられ続ける。


「ん゛…っ、は…っ」


打ち付けられるたびに感じるどうしよもないほどの甘い痺れに唇をぎゅっと噛むと、唇を重ねられ、無理やり舌でこじ開けられた。

まるで恋人同士みたいな舌の絡め方にぞっとする。


「ほん゙、と…っ、や゙、め゙…ッ」


嫌だ嫌だと必死に抵抗しても、その反応はさらに蒼の機嫌を悪くする一方で。
どうにもできない自分が悔しくて、悲しくて、涙が滲む。


……蒼の冷たい視線の先には、一人の男。

その腕と脚はガムテープで縛られ、床に倒れた状態のまま、こっちを向かされている。ほんの些細な行動を俺にしたことで、蒼は「色目を遣った」と思い込んだらしい。


それは帰りのこと。


鞄の中に用具を入れようと教科書をそろえていると、手の端が消しゴムに当たり床に落ちた。
それをこの男子生徒が拾って、渡してくれた。

ただ、それだけのことだった。
学校内ではよくある、なんてことない光景。


でも、それだけでもう蒼の癇に障ったらしい。

ましてや、俺が「ありがとう」と声をかけたことで彼の怒りは限界に来たらしく、後ろの席を見た時にはすでに蒼は立ち上がっていて。

その、人形のように感情のない瞳をする綺麗な顔に寒気を覚えた。

顔から血の気が引いて、「違…っ」と言いかけた瞬間腕を引っ張られて、抱き寄せられた。


そして何を言ったのか、蒼が男子生徒の耳に何かを囁いて、青ざめながら今こうして空き教室に連れてこられている。
prev next


[back][TOP]栞を挟む