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酷い耳障りな玩具だと、異様に低くなった体温が示す。
「ってわけで、もうあなたの居場所はない。ペットみたいな生活もうんざりよね?良くて性処理の道具にしかなれない。ここにいても、ただ苦しいだけってわかってるんじゃない?」
「…………」
さっき、台所から持ってきた。
懐に隠しているモノを想起し、ぼうっと考える。
今この女の人を殺せば、手に入るだろうか。
いつから眠れていないかも覚えていないけど、虚ろな思考で考える。
どうして、人を殺しちゃいけないんだっけ。
おれは、もう××してるのに。
「まぁ、今からあなたが何をしても事実は変えられないし、全部遅いんだけどね」
おそい、?
事実、?
何を、言ってるんだろう。
まさか、?そんなわけがない。
そんなはずない。
ありえない。
「妊娠、して、る…の、?」
「 」
耳に届いた言葉と、明るい声は祝福を見せつける。
「……――――――――…」
これほど、絶望と憎悪を感じたことはなかった。
けど、それと同じぐらい、全ての感覚が消えた気がした。
どうしてそうしちゃいけないと思ったのか。
…だって、人を殺そうとする、傷つけるような怪物を、きっと好きになってもらえないと思ったから。
でも、どうせ想ってもらえないなら、今更どうだっていうんだろう。
くーくんが手に入るなら、なんでもいい。
今まで考えていた理想の自分は、消えていた。
そう、全部、どうだっていいような気がした。
このままでは、終わってしまう。
それこそ、もう二度と手に入らなくなってしまうかもしれない。
それはだめだ。
おれにはもう、くーくんを手に入れる以外に、生きる意味なんかないのだから。
……彼女を せば、今からでも間に合うだろうか。
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