17
疼く内壁に太腿同士を擦りつけ、呻いた。
「………で、」
頬を伝った涙が、大量に出た精液やら尿とか何かで色を変えている畳に新しい染みを作る。
なんで、
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
××はいいのにおれだけだめで××とはしたのにおれとはしたくなくて××に精子あげたのにおれにはくれなくて××とは何回もしてたのにおれは指だけで××とはあんなに気持ちよさそうにしてたのに××とは××とは××とは××とは――――――――
「そういえば、」と思い出したように呟かれる声。
「風呂場で俺を待っててくれた時に会ってた人は、まーくんに二度と会えないようにしたから」
安心して、と頬を撫でる指先は濡れていて、唇をなぞるように触れる。
そんな人は知らない。
誰と会ったかとか、
誰がいたとか、そんな些末なことはどうでもいい。
彼の頬に両手を添えて、息を奪う。
重ねた唇の間で舌を絡め、必死に呼吸をしていれば、不意にまた桃の香りがすることに気づく。
いつだって主張するようにその存在感を訴えてくる。
「……どうして、おれを止めたの」
あの時、くーくんがナイフを取り出そうとしたおれの手を掴まなければ全部終わってたのに。
……まるで、御姫さまを…××を守るようなタイミングで現れたくーくんにおれの行動は阻止された。
そうされたことにまた激しく嫉妬する。
××を守った。
目の前で、おれから、××を、
「俺の『世界で一番大事な人』を殺されたら困るから」
「……っ、」
当然のように彼女への愛を語るくーくんは、眩しそうに目を細める。
「世界で、いちばん…」そんな言葉聞きたくないと涙目で睨めば、彼は整った薄い唇の端を持ち上げ、笑みを零した。
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