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そっちを見ると履いていたズボンを脱がされていることに気づき、思わず声がでた。
「な、…っ、ぇ…っ、ぁ…っ」
さすがに下はまずい。
うろたえる。
流石に戸惑う。
あっけに取られているうちに、今度は下着に手をかけられておろされた。
「ま…っ、…わっ」
上半身を起こしかけて、下着を膝から下に持っていかれると同時に無理矢理足が上に持ち上がって頭から布団に落ちた。
いくら頭が布団の上に倒れたといっても、熱のせいで一瞬目の前が真っ暗になった。
(…痛――っ)
ただでさえ意識が朦朧としてるのに、さっきから悪化の一途をたどっているような気がする。
蒼は多分一生懸命おれのためにやろうとしてくれてるってことはわかってるんだけど、看病の仕方がおれの想定と全然違う。
でも、その顔が無表情で、絶対変なことを考えてるわけじゃなくて、純粋に拭いてくれようとしてるんだと分かってる。
…わかっては、いる。
でも
「待って待って待っ…て……」
動揺と熱のせいで声が掠れてる。
うまく声が出ない。
でも、必死に止めようと喉の奥から声を絞り出す。
止めないといけない。
…今は、本当に、まずい。
いや、今じゃなくてもまずいんだけど、今は殊更やばい。
必死にできる限り大声を出したけど、頭がガンガン叩かれているように痛くて呻いた。
(…やばい…吐く)
揺らぐ視界に耐えて、口を手で塞いでいると。
「……勃ってる」
「…っ」
そのおれのソレをじっと見て、ぽつりと呟かれた声にカッと頬が熱くなる。
い、いや、別に図星じゃないんだけど…、というか、別に身体を拭かれることに性的興奮を覚えたとかではなく…。
吐かない程度に身体を起こして、布団を下半身の上にかけてそれを隠す。
熱い。色んな意味で身体が熱い。
蒼から顔を逸らして、ぼそりと呟いた。
ああ、もう、やだ。
「お、おれ…多分すごく人一倍くすぐりが弱くて、…その、タオルの感触に耐えてるときとか、…に……」
…はい。正直言うと勃ちました。
友達に看病してもらってたのに、勃ってしまいました。
もう顔も見られたくなくて、そこらへんにあった枕を掴んでぎゅっと胸元に抱えて抱きしめた。
もふもふのつめたいシーツ素材に顔を埋める。
もう窒息したってかまわない。友達にこんな姿見られるくらいなら、枕で窒息してやる。
「ご、ごめん…っ、そういう知識とかなくて、…抜いてない、からなのか、おれも、わかんないんだけど、……最近、なりやすくて、」
「……」
言い訳だ。
言い訳でしかない。
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