3
「…っ、は、ぁ…っ、激し…っ、んん…っ、」
「………」
乱れた吐息と、零れる唾液。
相手の後頭部を押さえて、蒼は唇を重ねている。
二人は全くこっちの視線に気づいていない。
眩暈がする。
今、見ていること、これもまだ夢の続きなのだろうか。
……別に、蒼が誰とキスしようが、構わない。
でも
その二人が、あまりにもお互いを求めているようで、絵になっていて。
なのに。
自分は何故、今こんなところにいて。
こんなものを見ているのだろうかと。
そんなことばかりが、思考を埋め尽くした。
「…ッ、ぁ…」
震えながら、一歩後ろに下がろうとした瞬間
ついに身体全部から力が抜けて、崩れるように床に倒れこんだ。
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