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***


「…ぅ…」


次に目が覚めた時、ぼんやりとした視界に天井が見えた。
身体の下にある感触から、すぐにここはベッドの上だと気づいた。
頭が痛い。
ガンガンと叩かれているような頭痛がする。


(……俺、どうなったんだっけ…)


まだぼうっとする視界に、気持ちがふわふわと漂っていて、何も考えられない。


「まーくん?」


ずきずきと痛むそこに手を当てると、少し離れた場所から声が聞こえる。
その声に、吸い寄せられるように振り向く。
……それは久しぶりに間近で見た蒼の姿で、何故そんな離れた場所にいるんだろうと、そのことを一番最初に疑問に思った。

いつもならベッドのすぐ近くにいるのに。
少し離れた場所に座っていた蒼が、表情を和らげて近寄ってくる。


「まーくん、気分悪い?何か飲む?」


優しく髪に触れる手に安堵して、その問いに首を傾げる。


「気分って、別になにも…」


どうしてそんなことを聞かれるのかと怪訝に思えば、彼は心配そうな表情で俺の額に手を当てた。


「…わ、」


手の感触ではなく、何かゴムのようなものがひやりとおでこに当たってびっくりする。
身体を起こして、そこに手で触れる。
視界の端で、鎖がじゃらりと揺れたのが見えた。
ぺろんとそれがはがれて自分の膝の上の布団の上におちる。


「…え?」

「熱があるんだから、無理に身体を動かしたらだめだよ」


その言葉に驚いて、額からはがれた冷えピタ?に触れる。…と、確かにところどころもう冷たくない。
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