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状況についていけなくて黙りこむ俺をよそに、小鳥遊さんがついに俺の夜ご飯にまで口を出し始めた。
「………、」
「きむちらーめんな。きむちらーめん」
「………」
「一緒に食べよう。あーんしてあげる」
……どんだけ食べたいんだよ。しかも男のあーんとかいらなすぎる。
(…しかも、いきなり何を言ってるんだこの人は)
それに材料もないし。
…というか、まさか食べに来る気か。
嫌だそんなの。
この人とはできるだけ関わりたくない。
半径5メートル以内に寄ってほしくない。
「俺猫舌だし辛いの苦手なんで無理です。…っ、だから、今すぐに離れてください」
「猫舌でも大丈夫だろ」
聞けよ。聞いてくれ。一番大事なところを聞いてくれ。
近い。距離が異様に近い。
…わざと無視してるのかコイツ。
小鳥遊さんが、頭上でふ、と緩い笑みを浮かべる。
なんか腹立ってきた。勝手にその顔爆発したりしないかな。
それに、そろそろ本気で人が来たら困るから離れて欲しい。
アパートの人に見られたら死ぬ。
確実に俺の人生が終わる。
ホモだなんて思われたら一生の恥だ。汚点だ。
「……キムチラーメンがいい」
「無理です」
「…らーめん」
うわああ。
その綺麗な顔を脅すように近づけてくるから、ぞっとしてぶんぶん首を縦に振った。
後頭部が何回か後ろの壁に当たった。
痛い。涙が出そうになる。泣く。
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