ぷれぜんと
◇◇
それは、ある寒い日のこと。
「あれ、橘クン」
「こんにちは、小鳥遊さん。珍しく夕方に動いてるんですね」
寒い寒いとカーディガンの袖を口元に当てつつ、部屋に戻ろうと鍵を開けていると、丁度部屋から出てきた小鳥遊さんにばったり遭遇した。
いつも夜にしか姿を見ないから、夜行性なのかと思った。
「…(へえ…)」
今日は珍しくオシャレだ。
こういうちゃんとした服を着てれば、全く変態に思えないのが不思議。
…ていうか、夜にしか見ないってこの人仕事何やってるんだろう。
ホストとかでもありえそうな顔してるけど。
性格が変態すぎて、ホストっぽくない。
客が逃げるレベルだ。
「…それだとまるで俺がいつも動いてないみたいだろ…、って、何持ってんの?」
「今日誕生日だったんで」そういうと驚いたように小鳥遊さんが目を見開いた。
お菓子作りのついでとか、自分のお菓子用で作りすぎたとかで。
今日は誕生日祝い以外にも、何故かお菓子をくれる女子が沢山いたから断る理由もないのでもらった。
お返しを何にするのか選ぶのが結構大変だけど、くれるのは素直にうれしい。
「結構モテるんだ。やっぱり」
何を納得したのか、ふうんと頷く小鳥遊さんから目をそらす。
寒いの苦手だから、早く帰ろ。
ぶるぶるとカーディガンの袖同士を合わせて震えながら、その横を通り過ぎようとすると。
ドン。
通さないというように、壁につかれた手。
目を瞬く。
またか。
最近小鳥遊さんの中で、壁ドンブーム中なのか。
本当に、面倒くさいブームを持ってくれるな。この人は。
(……顔の前にある腕が邪魔で通れない)
眉を寄せてその下を通り抜けようとすると、ずいっと身体が目の前に来てブロックしてきた。
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