2
前髪をふわさっとかき上げて、微笑む小鳥遊さん。
うわ、うっざ。なんかうっざ。
いつもより数倍鬱陶しい。
「食べきれないだろ?食べてやるよ」
「結構です。」
俺、甘いもの好きだし。
小鳥遊さんにあげるなんて、もったいなさすぎるし。
「なんで」
小鳥遊さんが、ムッと拗ねたように眉を寄せる。
子供か。
(…いや、なんでって、)
「…くれた人に、失礼だと思うので」
視線をそらしてぼそりと呟くと、驚いたように若干目を見開く顔を少し睨む。
失礼過ぎる。
(余程俺がそういうこと思ってるってことが、意外だったらしい)
一体どんな人間だと思われていたんだろう。
じっと睨み付けていると、小鳥遊さんがにこりと笑って首を傾げた。
全く可愛くない。
「なんかあまいもんちょーだい」
「…小鳥遊さんにあげるくらいなら自分で食べます」
そもそも甘い物自体貰ったもの以外持ってないけど。
…というか、何で俺が小鳥遊さんに何かあげないといけないんだ。
毎回迷惑しかかけられてないのに。
「たんじょーびは喜びを分かち合う日」
だからくれ。
と、訳の分からないことを言いだして、相変わらず壁ドンしながら決めポーズをしている小鳥遊さんに呆れる。
その体勢疲れないのかな。
「毎度毎度壁に手をついて進路を阻むのやめてくれませんか」
「壁ドンは、女子の憧れって知らない?」
「…へー…」
どちらにせよ俺は女子じゃないから小鳥遊さんにされても、何とも思わない。
最早答えるのも面倒になってきたので答える気はさらさらないということをアピールしようと、視線を下に向けようとして、ふと恐ろしいことを考えた。
小鳥遊さんの俺に対する数々の仕打ち。
まさか。
「…俺、男なんですけど」
…と、今更ながら性別確認をしてみたりする。
「…?知ってるけど」
「…ですよね」
よかった。知ってた。
キョトンとした顔をする小鳥遊さんに、ホッと息をなで下ろす。
[
back]
栞を挟む