3
ありえないと思ってはいるけど、小鳥遊さんが女子の憧れとか言い始めるからまさか女子だと思われてたらどうしようと一瞬考えてしまった。
…でももしかしたら、逆に女子だと思われてた方が今後絡まれなくて良かったのかもしれない。
「で、俺には?」
笑顔でまだそんなことを聞いてくる小鳥遊さんに怪訝に思い、眉を寄せる。
どんだけ欲しいんだよ。
「…渡しません」
顔を背けて断固拒否。
すごく効き目の強い催眠スプレーどこにやったかな小鳥遊さんに使いたい、なんて考えていると。
「じゃ、俺からっつーことで」
「…へ?」
(……俺から?)
そんなことを考えていると突然視界が暗くなった。
迫ってくる顔に反応できずに顔を上げた瞬間、
唇を塞がれた。
「…ッ」
差し込まれた舌。
同時にコロンと流れ込んできたそれをゴクンと反射的に飲み込む。
甘くて丸い、少し硬めの舌触り。
しまったと青ざめた瞬間離れていく冷たい唇にまだ反応できずにいると、満足げにその目が細められた。
「present for you」
耳元で小さく囁かれたのは、やけに流暢な英語の発音で。
「じゃ、お返し。楽しみにしてるから」
「…え、ちょ、」
ニヤリと満足げに笑みを浮かべる小鳥遊さんに、何か言い返す暇もなくぱたんと閉まるドア。
「『お返しは俺♡』とかでもいいからな」
「しません…!!」
それだけを言うために一度ドアを開けて覗いてきた小鳥遊さんに、全力で否定する。
(やばい、)
(今のは予想外すぎて、反応できなかった)
そもそも、誰が誕生日プレゼントの押し付けを予想できようか。
できるわけない。
それも、口移しなんて。
こんなの、誕生日プレゼントだなんて認められるか…!!
「……あー…」
変人って、本当に嫌だ。
いつも理解できない行動をする。
くっそ。吐け…!!俺、全部胃の中の物を吐け…!!
その後気持ち悪くなるくらい水で口をゆすいだ。
やっぱり小鳥遊さんがどんだけイケメンでも、ホモにはなれないと実感した日であった。
[
back]
栞を挟む