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うろうろ
きょろきょろ。
「………」
どうしたものか。
部屋に入ろうにも、自分は202号室なので、熱い雰囲気の彼らの後ろを通っていかなければならない。
そもそもアパートの通路なんて人が二人いればほとんど歩く場所がなくなるスペースしかなくて。
その横を通るのは簡単じゃない。
(と、通りづらい…)
もういっそのこと「こんにちはー」とか言いながら堂々と歩いて行ってしまおうか。
それとも「邪魔なんですけど」と暴言を吐きながら、通り過ぎようか。
(…寒い日にお熱いねーお二人さんひゅーひゅー。)
なんて内心ふざけながら
小鳥遊さんごとまとめて蹴り飛ばしたいと本気で思った。
でも、小鳥遊さんともそんなに会話したことないし。
挨拶くらいしかしたことないし。
流石に数回くらいしか話したことない人に、そこまでばっさり言えない。
「…(あー…)」
買い物袋もって通り過ぎたら絶対雰囲気ぶち壊しになるどうしようと悩み、なんやかんや数分考えたのち。
………さっさと通り過ぎれば大丈夫、だろうなんて結論に至った。
そもそも自分は人に気を遣っている場合じゃないんだ。
それにこんなところでキスしてる方が悪い。うん。大丈夫。
指からずり落ちかけた袋を強く握ってそそくさと邪魔しないように歩く。
「ちょ、人いる…っ」
その後ろをこそこそっと通り過ぎようとすると、相手の人が気づいたらしい。
焦ったような声が聞こえてきた。
振り返ると同時に、こっちに顔を向けて少し驚いたように目を見開く小鳥遊さんと目が合う。
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