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心の中でもう一人の自分が叫んでいるのが聞こえる。


「…いいよ。無理しなくても」


振り返らずに俯いて、自嘲気味にそんなことを呟く麗央に戸惑う。
無理、してないかといえばしてないわけがない。
してると思う。


「…う、」

「ごめん。俺、最低だよな…」

「あ、あう…」


寂しそうに顔に影を落とす様子に、ぐ、と居たたまれなくなって顎を引いた。
どうしたら良いかわからなくて、口を変な形にして口ごもる。


「いくら女とヤれなかったのが、襟夜のせいだって言っても、無理矢理することじゃないよな」

「ぐ、」

「…帰る」


俯いたまま、ぽつりとそう呟いた麗央が俺の手を振り払おうとする。

今、男として流されるわけにはいかない。

でも、でも俺にとって麗央は、顔以外性格最悪だけど、いいところなんてほとんどないけど。

……大事な幼なじみで。

これで距離を置かれたらいやだ、と一瞬でも考えてしまった。


(……やっぱり、俺は昔から…麗央には甘いんだ)


ぎゅっと目を瞑る。



「あーーー、もう、わかった!!わかったから!!」

「……何を?」

「何…って、…っ、わかった、から。……その、麗央と……しても…いいっていってやったんだよ!!」

「……………」

「……?…れお?どうした?」


何故か向こうを向いた麗央の肩が震えているように見えて、心配になってくる。
気分でも悪いのか…?


「…れ、」

「…今、わかったって言ったよな?」

「へ?」


途端に振り返って、にやりと笑う麗央にぽかんとして目を瞬く。
な、なんで急に態度が…。


「じゃ、下僕の合意もいただいたところで始めるか」

「おおおい!!」


先程の震えは体調の悪さではなく、笑いを堪えていただけらしい。

(くそう……!!ちくしょう……!!)


「騙されるほうが悪い」


うう、確かに…と涙ぐみながら、一度受けてしまったのもあって抵抗しにくい気持ちになる。
「ほら、後ろ向け」なんて言われて、後ろの襟元を掴まれて強引に後ろを向かされた。
そしてベッドに手をついて四つん這いになるように指示される。

は、恥ずかしすぎる…!!何プレイだよ…これ…!!
AV雑誌でしか見たことねえよ!!


「ひう…っ、」


スカートの下に入った手が冷たい。
太腿をすっと撫でられたせいでぶるっと寒気で身体が震えた。


「エロい眺め。これだけ見てるとオンナノコみたい」


嘲笑いのように、くっと喉の奥で笑われてカッと頬が赤くなる。
スカートの下には、彼方に「本格的にやらないと」と言われて、本当に女子用パンツを履いてるから、後ろから見たら確実に変態の域だ。
ぱつんぱつんのピンクのパンツに、今にもはみでそうなちんこを無理矢理おさめている状況。

…いや、パンツに収まりきらないちんこがはみ出ていた。


「本当に変態だったんだ?形がくっきりでてるけど」

「ひぁ…っ、ち、違…ッ」


パンツ越しにその輪郭がわかるソレを確かめるように、指で上から下になぞられた。


「ふ、ぅ…ッ、ん…ッ」


その厭らしい手つきに、我慢しようとしても変な声が出る。
もう泣く。絶対泣く。いや、泣いてる。ううう。


「よし、下僕。泣いて俺を楽しませろ」

「ぎゃッ」


バシッと尻を叩かれた。
痛い。酷い。
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