7(襟夜ver)
目の前の麗央が、……固まってしまった。

彼方に「これを着ていけば、麗央の機嫌も直るよきっと」なんて、太鼓判を押されて、「よし!イける!」と信じた俺が馬鹿だったのか…?!

そういえば、彼方の奴これを渡すとき、やけに肩が震えていたような気がする。
…まさか笑っていたのか、いや彼方に限ってそんなはずない。


「にゃ、にゃー。に、似合ってる?」


今の俺の格好といえば猫耳、黒髪の長髪、太腿が見えそうなくらい短いスカート。
…という、男の俺が着るには、傍から見たらものすごくシュールな格好でして。

(うおおおおおお。何か反応がないと恥ずかしい…!!ものすごい羞恥心で、顔から湯気が出る…!!)

何の反応もしてくれない麗央に、だんだん顔が熱くなってくるのが分かる。


「れ、麗央…?」


最早泣きそうになりながら、停止してしまった麗央に顔を近づけると。


「……何、その格好」


やっと反応を得ることができた。
しかし、反応してくれたと思ったら、何故かすっごい不機嫌そうな表情でプイと顔を背けて、麗央がぽつりと小さくつぶやく。

(き、キモイとか思われたかな…)

今更ちょっと冷静になってきて、しょぼんと落ち込みながら言葉を零す。

確かに、キモイかもしれない…。
反射的に「彼方が、」と言いかけると「あ゛?!!」ととてつもない形相で睨まれたので「俺の趣味です!!」ととっさに叫んでしまった。

違う違う違う…!!俺のバカ・・・!
俺は変態じゃない…!!


(でも、彼方のせいにしたら、彼方に迷惑かかるよな…。)

そもそも彼方が何故こんな衣装を持っていたのかが一番気になるところだが、聞かない方がいいような気がした。う、うむ。


「これ、しっぽまでついてんの?」

「ぎゃっ」


ぐいぐいとスカートにくっついているしっぽを引っ張られると、スカートがめくれ上がって下着が見えそうになる。
俺のナイスボディな太腿がチラリズムしたせいで、冗談でなく、本気でちょっと焦った。


「ちょ、エッチ!!痴漢!!変態!!」

「…変態って、どっちがだよ……」


若干傷ついたような表情をする麗央の手を払いのけて、でも窺う様な視線を向ける。

彼方から教わった、「必殺!!これで麗央なんてイチコロ!」的な上目遣い。


「そ、それで機嫌は直ったのでしょうか…?」


流石の麗央も、この俺の可愛さに悩殺され…、


「直ると思ってんの?」

…ているはずがなかった…!!

ですよね…!!
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