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「………」


…てか、さっきいつも通りだった…よな。

(…あんなの、アイツにとっては大したことなかったってことか)


「…つまんね」


愛也と初めて会ったのは高校一年生の時。

席が隣で嫌でも目に入ってきた。
いつもへらへら笑ってる俺とは対照的に愛也は無愛想で無表情。
でも顔はいいから女子にはその愛也の雰囲気が逆に女で遊んでない感じがしていいらしく滅茶苦茶モテた。


「…俺の方が優しいし女の扱いうまいと思うのになー」


顔も結構イケてるし。

まぁでもその時点で既に誰彼構わず毎日ヤりまくってた俺の噂は学校中に広がってた。

だからそんな俺が女子に真剣に惚れられるはずもなく、反対に真剣に好かれる愛也にムカついて、
なんかそんな感じで気に入らなかったから弱みでも握ってやろう。

そして顔が好みだからあわよくばヤらせてもらおうとかで色々話しかけた。

普段窓際で本を読んで周りに話しかけるなオーラを出している愛也は、意外にも話しかければ絶対に無視しないで答えてくれた。
それに何だかんだいいヤツで俺が色んな奴とヤりまくったせいで面倒事に巻き込まれてボコられた時に一緒に頭を下げてくれた。


「…うっわ、めっちゃいい奴じゃん」


今更ながら実感する。

…あれ、むしろなんでこんなにいいヤツと一緒にいられるんだろ。
でも懲りずにまたヤリまくってたら「そういうのやめろよ」って怒られたけど、やめられないものは仕方がない。

…とりあえず、そんなわけで愛也を良いヤツだって知って、
傍にいてくれるようになってからは他なんて本気でどうでもよくなったしむしろ愛也がいないと生きていけない。

あ、でも今回死のうとしたのは愛也が原因ってわけでもないんだけど。…訂正。結構愛也のせい。
そーいうことにしておこう。そのほうがなんか、うん、良い気がするから。

しかし結構仲良くなっても愛也はヤらせてくれなくて、だから「付き合おうよー」とかふざけて迫ったらどういうわけか愛也は嫌だとはいわなかった。


…オッケーって言われてないからそこらへんよくわかんないけど。

まぁ取り敢えず了承されたと解釈した俺の満足感は半端なくて、身体の関係を除いた初の恋人だったわけで浮かれてしばらくは自殺欲求のない平穏な日々だった。

愛也も俺を拒絶したりしないし、いつも一緒。

付き合ったら全てがうまく行くと思ってた。
嬉しくて楽しいことばかりだと思ってた。


…その、はずだった。

でも、相変わらず愛也に言い寄る女は跡を絶たない。

…愛也は俺と付き合ってるのに。
俺のモノなのに。

だから学校で俺と愛也のことを言おうとしたら「やめろ」って睨まれるし。

なんでダメなんだ。
恋人がモテる姿を見てるだけなんて全然楽しくない面白くないつまんない。

だから。

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