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そんな怖い予感に襲われて、バシバシとその背中をたたく。
「あお…っ、おれ…しぬ…っ」
「…ああ、苦しいよな…ごめん。…でも、まーくん可愛い…すごく愛らしい…」
(…へ、…変態だ…)
恍惚とした表情を浮かべた蒼に、だっこされたままの状態で至近距離で見つめられる。
逃げようにも蒼の方が何十センチも高いから、ジタバタと手を動かして抵抗したって非力な小学生ではなんの反抗にもならない。
元の姿でさえ、俺の力で蒼に勝てたことないし…。
そのことを思い出して、むっと眉を寄せて。
でもすぐに、一向に俺を抱っこしたまま下ろそうとしない蒼とその怪しい瞳に、ビクビクと怯える。
なんか今日の蒼は一段と怖い…。怖いというより、なんか変な視線がいやだ。
「いつものまーくんにも十分これ以上ないぐらい綺麗で可憐で可愛くて他なんか目に入らないくらい魅了されてるけど、その小さい姿もすごく愛くるしいな…。抱きしめただけで苦しくて涙目になるまーくんとか…全然身体に合わない大きさのサイズのパジャマに埋もれるまーくんとか…お持ち帰りしたい…。一生ガラスの箱に入れてずっとその姿を観察してたい…それか俺の部屋に閉じ込めて一生お世話してあげたい…」
「…も、…もうそのへんで、かんべんしてくれませんか…」
こっちがおかしくなりそうだ。
青ざめる俺を見て、また彼は頬を緩ませる。
「舌足らずなまーくん最高…」
「…あの…」
俺の話聞いてる…?
発言がヤバイ。
そしてなんか瞳もイッてる。
完全に危ない人だ。近づいちゃいけない人だ…。
ぶるっと寒気に震えて、「そ、それよりも」とぎこちなく話題を変えた。
「あおいもなんか背、ちぢんでないか?」
キョトンとして目を瞬く。
最初見た時思ったけど、着てる制服が高校のものじゃない。
俺達が中学生の時に来てた服だ。
高校で蒼はずっと背が伸びたから、もう中学の時の制服は入らないはずだ(多分)。
…つまり、蒼は中学生ぐらいの体格に戻っちゃったみたいだ…。
なんだか一晩寝て起きたら世界がおかしくなってしまった。
「うん。多分低くなったけど、そんなのどうでもいいよ」
「…いや、どうでもよくなんか」
自分のことなのに全く興味なさそうにそう言い捨てるから、どうでもよくない、と言おうとして。
また興奮した顔で「抱きしめていい?」と聞いてくる蒼から「うわあああいやだあああ」とジタバタと必死に逃れようとすると、逃がさないようにとぎゅっと腰回りに腕を回して逃がさないようにされた。
…………しばらくあがき続けて。
結局抵抗を諦めた俺の頭をよしよしと撫でる蒼に、かつ、この上なく面倒くさいこの状況にため息しか吐けなかった。
(…一生元にもどらなかったら、どうしよう…)
そんな不安を抱きかかえつつ、まぁなんとかなるだろうと楽観的に考える、まだ夢見心地な柊 真冬(ショタ)であった。
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