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まだ幼さを残して儚い系美少年な蒼に、ああやっぱり女子にモテそうで羨ましいと前にも何度か思ったなぁと思いだした。


「ううん。ねむくない。それより、ずっとおれたち、このままなのかな…」

「俺はずっとこのままでも構わないけど」

「…おれはやだよ」


輝かんばかりの笑顔でそう返されて、思わずしかめっ面になる。
俺だってまだ中学生だったらよかったけど、小学生ぐらいなんて何もできないし、力もないし、滑舌も悪いし…嫌にもほどがある…。



「おれ…じぶんがしょうがくせいぐらいっていうのはわかるんだけど…ほんとはどのくらいかわったんだろ…」

「知りたい?」

「…へ?」

「今のまーくんの身長は129cmだから、小学4年生の時の身長と全く同じだな。だから正確に差を計測すると昨日の身長より39cm低くなってる。体重は…」

「え、ちょっとまってまってまって」


なんで測ってもないのに、どうしてそんなあっさり今の身長が分かるんだ。
…というか、なぜ4年生の時の身長を知ってる。

俺だってもう覚えてないのに。
慌ててその口を手で塞ぐと、その手を掴まれた。
ちいさな俺の手を包み込むように蒼の手にそっと握られる。
彼は何故か楽しそうに笑って、緩み切った頬をさらに緩めた。


「俺は、まーくんのことならなんでもわかるよ」

「……う」


嬉しくない。
全然、全く、これっぽっちも…嬉しくない。
そんなに綺麗な笑顔で言われても、全然どきどきしない。

むしろ悪い方の意味でどきどきしてくる。

俺の髪を撫でる手が止まって、脇の下に差し込まれた腕にぎゅっと抱きしめられる。
自分の身体が小さいからか、いつもよりすっぽりと収まる。

(…あったかい)

蒼って相変わらずこうやってぎゅってするの、すごい好きだよな。
スキンシップが多いとも言う。
後頭部にふいに何かやわらかい感触が触れて、「ぎにゃ…っ」と変な叫び声が口から漏れた。
慌てて庇うようにその部分に手で触れて振り返る。


「い、いま、なにし…っ」

「あー、ぷにぷにしてる。白くてやわらかくてお餅みたい…」

「む…」

「…おいしそう…」

「や、やだよ…」


たべられてたまるものか。
絶対嫌だ。

真っ赤になった俺の頬をツンツンとつついてくる指先から顔を背けると、今度はほっぺを掴んで引っ張られた。

むにーっと音がなりそうなぐらい、ほっぺを引っ張られてちょっと痛い。
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