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そういえばどんな小説読んでるんだろうと興味を持つ。
そんなわけで一緒に文字を追いかけようと試みるも
(字、小さいな…。なんだこの難しい文章…)
少し読んだだけでげっそりとしたので、数秒で追うのはやめた。
しかも眠気は限界で、それに抗う術はない。
「……(ねむ…)」
もう一度くああ、と邪魔にならない程度に小さく欠伸をする。
そして
こんな幸福な状況にも関わらず、こく、こく、と頭で船を漕いでいた俺はいつの間にか
その格好のまま、眠りこけてしまったのだった。
***
…夢の中でぼんやりと思い出す。
(…ああ、そういえば、今日の野良はおかしいくらいに俺の言うことを何でも聞いてくれたな…)
例えば、
いつも野良がふらっと家に来るときには何とかして恋人感を出したくて、
「ご飯にする?お風呂にする?」
からの、
「それとも、俺?」
という定番のおかえりトークをしていた。
いつもなら、
「ご飯」
「俺だな!!」
ってやるところを、
今日は「…佐藤がしたい方で良い」だなんて言うから、思わずこっちが固まってしまった。
夕食後に野良にケーキを作った時だって、
「あ、唇のはしにくりーむついてる」
指につけてぱくり、として「はは、なんちってー」とふざけてやってみたところ、何も言われなかった。
これは凄い。奇跡だった。いつもなら暴言やら色々やられてる。
しかもあーんしても怒らなかった(ちょっと嫌な顔はしてたけど)。
挙句の果てには、あんな風に恋人っぽく肩を抱き寄せてくれた。
明日俺は死ぬのか?!!って疑ったくらいだ。…どうだろう。死ぬかも。
(…でも、)
この野良の態度には覚えがある。
だからこの今日一日の優しさの理由が、俺に好意を寄せてくれてるからとか、あの精一杯の告白に心を動かされたとか、そういうことではないことをちょっと残念に思う。
…好きなヤツと昔馴染みという関係はこれだから、嬉しくて、少しだけ…寂しいのだ。
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