4
……
………
意識が浮上する感覚。
「…んー…」
夢心地のまま、重い瞼を開けると……天井が見えた。
ぼんやりと視界に映る家具の配置と
身体の下に触れているやわらかいような固いような感触に、自分がソファーの上で横になっていることを知る。
寝起きの習慣で、なんとなく時計に目を向けた。
…もう深夜1時過ぎ。
(…流石にもう帰ったよなー…)
無表情でマイペースな友人を、思った。
あんな恵まれた環境で寝落ちた俺が悪いのだけど、なんだか心寂しいような気持ちになる。
…と、
「…ん…?」
不意に、何かやわらかいものが身体にかかっていることに気づいた。
驚きに一度目をぱちくりして、
「…――」
そのふわふわな温かい感触に自然と笑みが浮かぶ。
「毛布、かけてくれたんだ」
「…別に。読んでる横でずるずる落ちていかれて邪魔だったから」
嬉しさを滲ませた声でぽつりと呟いた言葉に、俗にいうツンデレみたいな言い訳が寝転んでる俺の頭の上らへんから降ってくる。
あ、と声を上げてそっちを向いた。
…と、隣のソファーのとこに座って読書中だったらしい野良が本に視線を落としている。
その表情は普段通り無表情で何を考えているのかまるで読めない。
ぐぐ、と目を凝らしても彼の思考どころか、その黒いTシャツの下にあるだろう美しい肌なんて全く透けてみえなかった。…ちくしょう。
でも、
(…本当に邪魔だったら毛布までかけないと思うんだけどな、普通)
不器用な優しさを感じて、幸せな気持ちに満たされつつへらっと笑みを浮かべる。
「やっぱり野良は最高だな!ありが」
「……、」
ばさっ、
「うぎゃ…っ、」
更に頬をだらしなく緩ませながらお礼を言いかけると、途中で顔に被せられる毛布。
突然視界一面が茶色になって、その毛布にもわもわとくっついている羊の毛が口に入りそうになってふがふがした。
「い、いきなり、被せてくるな…っ、」
何事か、とガバッと毛布から顔を上げる。
文句を言おうとして、…視界に入って来た光景に口を噤んだ。
(…おお…)
本を読む表情がいつもと違って、その感情が大分わかりやすく表れている。
「…何」
珍しいものでもみたような顔で見ていると、じとり。睨み付けてくる瞳。
けど
その睨みは普段より迫力がなくて、どこか違う色を含んでいた。
「ふへへ」
毛布攻撃はお礼を言われたことへの照れ隠しだったらしい。
…ああ野良らしいな、とじんわり感じて、笑顔が零れる。
「なんでもなーい!」
その弾んだ声にむっと眉を寄せて向けられる怪訝な視線に、密かに笑うのであった。
[back][TOP]栞を挟む