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「…なんでだよ」


俯き、声を絞り出した。
沈んで暗くなる気持ちがそのまま音になってしまう。


「休むはずだったなら、…なら、」


わざわざ聞かなくてもいいのに。

別にさっくんなんか、
もうオレには関係ないんだから『そっか!わかった』って軽く笑ってベッドを貸してもらえばいいだけなのに。


(…自分を一番だと思ってくれてた家族が、他の人を大切にしてるのって、こんなにショックなものなんだ)


改めて実感する。


「なんで、」


無意識に気持ちが会話から逃げようとして、地面についてる汚れを無意味に睨んでいると、


「さぁ、何故でしょう」

「……っ、」


オレの掠れた声で問いかけた疑問を、
…飄々と、まるでどうでもいいことみたいな雰囲気でさらりとかわされた。


(……答えて、くれないのか)


なんとなく、声がいつもより冷ややかに聞こえるのは気のせいじゃないような気がした。

顔を見たら、それこそ冷たい表情をしていそうで、…それが怖くて、俯いたまま言葉だけを紡ぐ。

重い空気に、喉が渇く。

ぱっさぱさに乾く唇を軽く舐め、ふ、と息を吸った。


「…あの後、何時間も、…桃井と、何してたんだ?」


戻って来た時の二人のただならぬ雰囲気。空気感。

ずっと気にしないようにしてたけど、でも、それでも気になりすぎてそれからの授業なんて、全く頭に入ってこなかった。

けど、口に出して聞いた後、


「……」

「………」


何故かさっくんが無言になってしまった。

そのせいで、すぐに気づく。

(…て、これだと、まるでオレが気にしまくってたみたいじゃないか)

ハッとして、その瞬間ピシッと硬直する。

頬が熱くなる。


…さっくんからしてみたら、

自分のことを気にして気にして気にしまくってて、

しかもこうやって保健室に来たのも、体調不良だと嘘ついて二人の仲を探りに来たみたいに思えてしまうんじゃないか。


「…(ああ何やってるんだ、オレ)」


こんなんじゃ、またいつもみたいにさっくんに笑われてしまう。
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