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すぐに蛇のようにぬるりと冷たい舌が唇を割って差し込まれ、歯茎を舐められればゾクゾクと身震いした。

息を吸おうと食いしばっていた歯を開けば、舌を探し当てられる。ゆっくりと絡められ、唾液とさきっぽを吸われた。

吐いた息ごと吸われ、もみくちゃになって抵抗しようとしても、大きい手のひらに顎をがっちり掴まれればビクともしない。

そうされている間にも、ネクタイをするりとほどかれ、カッターシャツのボタンを片手でどんどん外されていく音がする。


「っ、ん、や、め…っ、」


夏だからか、抵抗しているからなのか、すぐに汗ばんだ首筋に唇が這う感覚に、背が震え、足を浮かした。

(…家族への愛情なんてない。)

ただの、意味のない行為だ。

それに、この、微かに香る…嗅ぎなれない香水みたいな匂いが、さらにさっくんを別の人みたいに認識させてくるから、

シャツをめくられ、腰に素手で触れられながら噛むように荒々しく口付けられれば、反射的に相手の唇を噛んで拒んだ。


「…っ、ぅ、ぁ、」


ジュワッ、

こみ上げる恐怖と今の抵抗のせいで更に膀胱が刺激されて、急いで股間を押さえた。

…それなのに。

ちんちんの先をぎゅっと閉じても、その小さな口から、シュウ…ッ、ジュワッ、ジョ…ッ、と、ほんの少しずつ零れていく黄色のおしっこ。


「…ぁ、あ、やだ、や、」


(おしっこ、おしっこ漏らしちゃってる…っ、)

穴を閉じている指や手と一緒に、脱げかけていた下着やズボンも一緒に濡れたのがわかった。

ジワジワとあったかくなっていくその感触に、唇を震わせ、青ざめる。

どうしよう、と泣きそうになって慌ててもっと強く股間を押さえた。


「大事な躾の最中によそ見はダメですよ」

「っ、ふ、」


拒んだせいか、唇から滲んだ血を拭いながら傷ついたように微笑むさっくんに、…お仕置き、とまた唇を塞がれ、角度を変えながら口付けられる。

(…っ、これのどこが躾だ…!)

しかも手首をがっちり捕まれたまま押し倒されてるせいで、逃げようにも明らかな力の差でびくともしないっておまけつきで。

ていうか、もうよくわからないくらいに何かが間違ってて、こじれてる気がする。

この怖くて不安な気持ちを今すぐにでもさっくんにぶつけて、ばかって悪態をつきながら殴ってやりたい気分になった。

(個人指導って、おしっこでそれどころじゃないってことくらいわかってるくせに)

お漏らしのせいで股間のべちゃべちゃ不快感がすごい。

でも、実際にできたのは、
その陰惨とした寂しげな視線から逃れるために、唇が離れた瞬間に手をふりほどいて身体を横に向けることくらいだった。


「…別に、オレが誰と何しようが、『先生』には…かんけい、ないだろ…っ、」


ついでにムっとしながら他人行儀な呼び方で言葉を投げつけた。

……瞬間、オレを組み伏せている相手の表情が強張り、氷点下に温度を下げたことに気づく余裕はない。

…というか、現実問題、上の口ではそんな風に立派に言い返せている……のに、下のちんちんの「T」の形の隙間からは…チョロ…と汁をこぼしはじめていた。


(…っ、漏らす、なんて…さい、ていだ…っ、最悪、だ…っ、)


そこを掴んでぎゅって閉じてる両手を挟むように足もクロスさせる勢いで閉じる。


…と、


「…ん、…さく、と…?いまの音なぁに…?」

「――っ!!!」


隣のベッドのほうから聞こえてきた寝ぼけたような甘えた呼び声と布擦の音に、一層サーっと血の気が引いた。
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