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「…これで、良い…かな」
相変わらずベルトは自分でできないけど、とりあえずなんとか…新しい下着とズボンに履き替えることができた。
トイレ狭いし、やっぱり自分で着替えるの難しいし着替えてる間によろけて体が壁に当たるし、マジかってくらい、めっちゃくちゃ時間かかった。
たまに熱が出て保健室で休むから、その時用の替えの制服をロッカーに置いといて助かった。
「…あー…」
誰もいない教室で、机にのせた腕に顔を伏せる。
(…本気で、どうしよう)
あんな風にきっぱりさっくんに言い放っちゃったけど、
…一人でご飯も作れない、着替えもできない、お風呂にも入れない、トイレもできない。
(…さっくんのいう通り…何にもできないんだ…オレ)
「…は、…まだちょっと疼いてるし…」
もうとっくにおさまってもいいころなのに、ちんちんが硬い。
トイレで一回だけ抜こうとして、結局……また無理だった。
「…っ、…さっくん、の……ばーか、」
窓の外のオレンジ色に染まってる世界に、なんだか気持ちも沈んで涙ぐむ。
(……やっぱり、嫌だな)
嫌だ。さっくんがいないなんて嫌だ。
自分から切り捨てておいて、あんなことを言っておいて、今更後悔する。
一緒にいたいなら、縋り付けばいい。
オレから離れないでって。
これからもそばにいてって。
…でも、…オレの性格的にそれだけはどうしても、どうしてもできなくて。
「…ふん。誰とでもすぐちゅーちゅーするさっくんが悪いんだ」
……正直、…もうちょっと、特別なものだと思ってくれてると思ってた。
オレのことも、キスも。
家族だから、大切な人だからするんだって、その言葉を信じてたのに。
一瞬で、今までそうじゃなかったほかの誰かがその『大切な人』の位置になれるんだな。
…もしかしたら、今も保健室で二人でいちゃいちゃしてるのかもしれない。
「…あーあ、」
深く重い吐息まじりに、ぽつりと小さくつぶやいた
…その瞬間、
ふわり。
頭を誰かに撫でられた。
「…っ、ぇ、」
(…さっくん、?)
なんて、そんなはずはないのに。それでももしかして、って期待…して、
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
「…朝霧、」
顔を起こすと、腰を屈めて顔を近づけていたらしい朝霧の黒くてぱっちりとした目と、かち合う。
こっちがいきなり顔を上げたせいで、吐息が触れそうなほど、かなり至近距離で見つめあう格好になった。
驚いたのか、その目が大きく見開かれて、徐々に頬に赤みが増していく。
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