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…なんだかオレとご飯食べたり、他にもしてきた普段のことも、全てが何の感情もなく過ごしているように聞こえてきて、…


「さっきも、オレを泣かせた、とか酷いことをしたって言ってたけど、…さっくんは、もっと自分を大事にしろよ…っ、してくれ、頼むから、」


オレが言ったからって、全部に律義に従おうとするな。


「確かに、桃井のことはショックだった…っ、代わりだって言われたのも凄く胸が苦しかった…っ、!痛く、なった…」


今でも、思い出すとぎゅううって絞られてるみたいに痛くて、泣きたくなる。

でも、これの意味が、…今ならわかる。


「、…嫉妬、したんだ。しすぎて、心臓がおかしくなるかと思うくらい、」

「…っ、」


漫画で読んだあの感情って、こんなにつらかったんだって、初めて知った。もう二度と味わいたくないって思った。

…桃井がうらやましかったから。

さっくんにあんな風に想ってもらえる桃井が、凄く羨ましくて、オレもそうなりたかったのにって、

…そう思ったら、この痛みに耐え続けるのなら死んだ方がマシだって叫びたくなった。


「でも、これでやっとわかったんだよ。オレ、さっくんのこと…家族としてじゃなくて、…その、恋…とか、そういう意味で…好きなんだって」


家族だから、って理由で、ここまで苦しくはならないはずだ。
怖いと、もう二度と感じたくないと思うほど、…切なくて、泣きたくなんてならないはずだ。


「好きって、こんなに痛いんだな」

「……」


縄で締め付けられてるように激しくぎゅーーってなる心臓の痛みに、…だからこそ彼を家族じゃない…本当の意味で好きなんだと知ることができたんだって思うと、嬉しい。


「だからさ、全部…ちゃんと感じてくれよ。オレの好きなさっくんを、傷つけるようなことはしないでくれ…」


祈るように吐き出して、抱き着いていた身体をよろよろと起こす。


「…すき、」


そう呟いてその頬に触れれば、胸が高鳴って、…ぽたぽたと、こみ上げる感情によって溢れた涙が次から次にこぼれ落ちて、さっくんの顔を濡らした。
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