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…久しぶりの教室は、ちょっと緊張する。
喉が詰まるような閉塞感。いつもより息を上手に吸えない。
体調が悪くて休んでたとはいえ、…4日も欠席してしまった。
…それに、桃井とも顔を合わせづらいというか…、正直…関わりたくない。
でも、来たら言わないといけないことがあるから、…今日は会うことを避けられないだろう。
「あ、それねー、きゅんってする!」
「ね、やば!これされたら堕ちるよね!」
(……?)
頬杖をつき、眠気と戦っていると聞こえてきた声。
…近くの席の、女子3人がきゃーきゃーと興奮気味に騒いでいた。
「……」
机の上に雑誌を広げ、何やら『これ最高!』『されたい!良い!』と盛り上がっている。
その中で、…知ってる名前が聞こえて、顔が強張った。
”咲人様”
いつもならどうでもいいと流し、気にもならないような光景。
…けど、…今日はやけにその人物と、会話の内容が気になった。
『モテ仕草』
ぴくりと眉が動く。
…以前のオレなら、気にも留めなかっただろう単語。
そもそも、キャーキャー叫ぶ感じの目立つ女子は苦手だ。
それに、
(…さっくんの話題が気になるからといって話しかけられるわけでもない)
自分の人見知りかつコミュニケーション能力がないことは嫌と言うほど理解している。
「夏空、おーす!」
後ろからがばっと回ってきた腕に抱き付かれた。
よく教室の中央で抱き付けるなと思うけど、たまにこういう挨拶をしてくるのは一人しかいない。
「おはよう」
「もう風邪はいいのか?」
「うん」と頷けば、疑い深く手を額に当てられた。
ふーむと唸り、無理するなよと頭をぽんぽんと優しくなでてくる。
「ほんと、正孝は音海溺愛だよな。LOVEっつーか。むしろ過剰?」
「そーだそーだ!女どもがキャーキャー叫ぶ雨宮にだけ許される過保護…調子にのんな正孝!」
「うるせえ!前も何回か調子崩してたし、心配にもなるだろーが!」
普段つるんでいる原田や石井に囃し立てられながらも、それでも嫌がらずに心配してくれる正孝は優しい。いい友達だとこういう時に改めて思う。
「ありがとう」
「…っ、」
最近色んなことがあって辛かった感情が少し癒される。
心のままに礼を呟けば正孝が絶句する。
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