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「それよりさ、さっきあいつらのこと、ヤらしい目つきで見てなかったか?意外にそーいうの、興味あるんだな」
「…別に」
一瞬なんのことかわからなかったが、視線で示され、ああ、と合点する。
雑誌を見ている三人の女子。
さっくんの名前が聞こえたから、気になっただけだ。
それ以上に深い意味なんかない。
「あっそ。確かに”夏空様”は子どもっぽいもんな。まだ恋愛に興味が出るお年頃じゃないか」
「っ、……オレだって、興味がないわけじゃない」
バカにされたように笑われ、なんなんだと気分を損ねる。
ほとんど話したことがないのに、何故ここまで蔑まれた返しをされなければいけないのか。
「ああ、そうだよな。ないわけないよなぁ」
さっきは否定してきたくせに、あっさりと受け入れた発言をする。
席を立った吉野に、ぐいと胸倉を掴まれ、耳元を唇が掠めた。
「お前、雨宮となんかあったんだろ?――もしかして、ヤった?」
「……え、?」
簡単に笑ってスルーしてしまえばよかったのかもしれない。
もしくは、普段通り無視するとか。
…けど、その言葉に予想外に図星を突かれたオレには、どちらの方法も取ることはできなかった。
「音海、休む前と雰囲気変わったよな。わかるやつはすぐわかると思うぜ」
「…っ、なん、で」
指の先が冷たくなる。
ばれた?どうして?
まさか、保健室でのことを見られていた…?
ぐるぐると廻る。けど、桃井以外にあの時人はいなかった。
だから、オレの何かが違う、なんて、
ほとんど話したことがない吉野に、わかるわけが、
「付き合ってる…、わけではないみたいだな」
「…っ、」
どうしてこうも、簡単に心の中を読まれてしまうのか。
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