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「でも良かったな。少し雰囲気が変わったくらいじゃ、お前は女どもに嫉妬の対象としてみられない」
「…?なんで、オレだったら、」
「は、当たり前だろ。音海は雨宮の主人って有名だし、何より男だ。恋人候補にはならない」
「……っ、」
当然のように言われた台詞に、胸を貫かれて何も言えなくなる。
”何より男だ”
きょとんとした表情で言われて、言葉に 詰まる。
…顔に、出ていなければいい。
全部、今のオレの泣きそうなくらいに揺れた感情が、ばれていなければいい。
「…そう、だな」
気づけば、その言葉を肯定していた。
笑う。
その通りだ。
…今更だけど、オレもさっくんも男だ。
どれだけオレが好きだと思っても、そうやって表立って言えるような立場ではないのだと、…どうして気づかなかったんだろう。
「さっくんはオレの執事だから、恋人になんてなるはずがない」
顔を逸らして、僅かに震える唇で呟く。
…さっくんから明確な告白の返事が返ってこないのは、そういうことだったのかもしれないと、目線を伏せた。
「…は、お前、」
こっちを見上げてオレの名を口にする吉野を見返せば、…何かを言いかけて、面白そうに笑った。
「もしかして、雨宮のこと好きなの?」
「…っ、」
今度こそ、びくりと身体が震えずにはいられなかった。
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