6

「でも良かったな。少し雰囲気が変わったくらいじゃ、お前は女どもに嫉妬の対象としてみられない」

「…?なんで、オレだったら、」

「は、当たり前だろ。音海は雨宮の主人って有名だし、何より男だ。恋人候補にはならない」

「……っ、」


当然のように言われた台詞に、胸を貫かれて何も言えなくなる。

”何より男だ”

きょとんとした表情で言われて、言葉に 詰まる。

…顔に、出ていなければいい。

全部、今のオレの泣きそうなくらいに揺れた感情が、ばれていなければいい。


「…そう、だな」


気づけば、その言葉を肯定していた。

笑う。

その通りだ。

…今更だけど、オレもさっくんも男だ。

どれだけオレが好きだと思っても、そうやって表立って言えるような立場ではないのだと、…どうして気づかなかったんだろう。


「さっくんはオレの執事だから、恋人になんてなるはずがない」


顔を逸らして、僅かに震える唇で呟く。

…さっくんから明確な告白の返事が返ってこないのは、そういうことだったのかもしれないと、目線を伏せた。


「…は、お前、」


こっちを見上げてオレの名を口にする吉野を見返せば、…何かを言いかけて、面白そうに笑った。


「もしかして、雨宮のこと好きなの?」

「…っ、」


今度こそ、びくりと身体が震えずにはいられなかった。
prev next


[back][TOP]栞を挟む