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…途中から、わざとなんじゃないかと思うことは度々あった。
「あら、音海君ごめんね?わざとじゃなかったの」
廊下で、教室でのすれ違いざま、どこでもタイミングさえあればぶつかってくる。
足を踏まれそうになったこともあった。
流石にこう続くとわかるというか、…これで全部偶然だと思えるほど阿呆じゃない。
「アイツ、マジ何なんだよさっきから。やり返してやろうか」
「…別にいい」
正孝が度重なる桃井からの嫌がらせに通り過ぎていった女子二人を睨むが、感じの悪い笑い声が返ってくるばかりだ。
(どっちにしろ、今日桃井と話そうと思ってたことに変わりはない)
……放課後、
教科書を鞄にしまっていると、ガタ、と誰かの身体が机にぶつかった。
その衝撃で床に落ちた本を拾おうと手を伸ばした瞬間、
「ごめんなさい、踏んじゃった」
「………」
グシャ、という汚い音とともに誰かの上履きが本の上で形をねじまげるように踏みつけた。
確実に意図的だろうその行為に、帰るまでには何かあるだろうと予想はしていても実際にされるとかなり嫌な気持ちになる。
授業が終わってから少し時間がたったから、今教室にはほとんど人がいなかった。
…こういうことをしても、見られる心配がない。
とは言ってもよく躊躇いなくできるな。
「ごめんなんて思ってないだろ」
見るも悲惨なほど汚れてしまった本を拾うことを諦め、顔を上げる。
言い返したことで、桃井の顔がぴく、とひきつった。
「な、何よ。汚い手段で咲人を取ったくせに、いい気にならないでよ」
「…?、汚い手段?」
全く身に覚えがない言葉に眉を顰める。
…それに、『咲人』と名前を口にするのを改めて聞くと気持ちが暗くなった。
「だってそうでしょ…!私と咲人を引き離した!」
「……」
頬を強張らせ、酷い、とオレを非難する。
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