20(桃井ver)
***
前を歩く音海君の後についていく。
なんで私が悪者みたいに言われないといけないの。
悪いことなんかしてないのに。
咲人を取り戻したからっていい気になってるんだ。
…可哀そうな咲人。
本当は私のことが好きなのに、お金か権力が何かで音海君に拒否できないんだ。
私が助けてあげるからね。咲人。
咲人に言われれば納得するか、なんて…咲人が私を拒絶するようなこと言うわけないじゃない。
「…咲人、が、言うわけない…」
イライラと爪を噛む。
…あの夜、愛してくれた。
たくさん抱き締めてくれて、息を重ねて、体温をわけあった。
咲人は私の恋人。
王子様なんだもの。私の運命の人なんだから。
なのに、
「…(こいつが、音海が、私から咲人を…)」
奪った。私から、咲人を奪った。
許さない。
許せない。
いっそのこと感情を露わにして、階段から突き落としてやろうかという気持ちが溢れ出す。
…それでも、咲人は私を愛してるんだ、今からきっとそれを証明してくれてるという自信だけが私の怒りを唯一沈めてくれた。
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