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………

………………


保健室の前。

入口の傍でぴた、と足を止め、ドアの窓から中を見た音海くんの顔が瞬時に強張り、複雑そうな表情で目をそらした。


「……?(何、?)」


私も同じように中を覗き込むと、…よく見る光景に不快感が全身を襲う。

…咲人が女子に囲まれている。

会話は聞こえない。
けど、白衣姿で椅子に座り、本を片手に持っている咲人の綺麗な横顔はいつも通りのこと。

…それだけならいい。

(…何よ。咲人が鬱陶しいと思ってるのがわからないの。懲りずに話しかけるなんて、バカじゃないの)


「……?」


どういうこと…?

違和感。奇妙な感じを覚えた。

女どもも、私と同じような感情を抱いているのだろう。明らかに戸惑っている。

…咲人の様子が、いつもと違う。

勿論、咲人が目障りだと思うのは当然だ。
あんな低レベルな女達に話しかけられて不満を覚えないはずがない。

…けれど、…いつもなら、どんな時でも優しく笑って返事をしているのに。

今日は、大人びた表情で淡々と返答をするだけ。

無視、とまではいけなくても興味なさげな態度。
…普段の咲人を知っていれば冷たくされている、と感じてもおかしくない。


「……」


まぁ、どうでもいいことか。
他の女をぞんざいに扱うようになったのなら、むしろ好都合だと疑問を解消し、扉を開けた。
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