嫉妬と噛み痕(夏空ver)
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自己嫌悪で頭がおかしくなりそうだ。
元々人に強く何か物事を言うのは好きじゃない。
凄く体力がいるし、疲れる。
…けど今回はさっくんが傷つけられたんだからあれぐらい言わないといけなかった。間違ってはない、はずだ。
それでも、自分の言葉で誰かが追い詰められたり嫌な思いをするのは見たくないし、…それに、あそこまで言う権利がオレにあるのか、と少し考えてしまった。
最低だな、と桃井には言ったけど、オレだって同じようなものだ。
桃井に言われて了承をしたのはオレだ。
…一番最初の原因はオレにある。
了承さえしなければさっくんは傷つかずに済んだんだ。
さっくんと喧嘩して、気まずくて、それで、執事にしたいって言った桃井の話を拒否しないさっくんにムッとしてそのまま受け入れた…オレが原因。
…あれを受け入れなければ、と思う。
そうすれば、さっくんは桃井と…、…そういう、行為をしなかったかもしれないのに。
(…過去の、自分のたった一言のせいで、)
「っ、…夏空、様、」
「……」
…微かに漏れる声音に、ちら、と顔を上げれば、その綺麗な顔に少し痛みを滲ませていた。
首筋にかぷ、と噛みついていた歯。
…痕がついたのを確認し、満足する。
「お仕置き、だ」
いつもの仕返し。
…あの時止めなければ、確実にさっくんはキスした。
何でもないことのようにキスする気だった。
特に、嫌がることもなく、ただ淡々と。
オレの見てる前で、平然と キス、しようとした。
底を知らない沈み続ける感情に自然と下を向く。
濁る。汚染される。感情が、汚く黒くなる。
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