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元気だと思ってほしくて笑って普段通りにしようと思ったら、勝手に咳が出てきて無駄に終わった。
余計に心配そうな顔をさせてしまった。


「あー…ごめんな、いつも…」


熱く怠い息を吐きながら、ぷいとそっぽを向く。
本当は凄く凄く寂しいし、心細い。
休んでくれとはいいながらも傍にいてくれるさっくんの存在にはかなり助かっていた。

…それにしても、

(…オレ、倒れる前に何か考えてたような気がする、んだけど…)

思い出せない。

記憶を探っていると、怠さが増し、瞼が重くなる。


「……もう、……い…」

「…ん…何か、いった…?」


暗い表情で呟くさっくんを見上げれば、「いいえ」と首を小さく横に振った。


「夏空様、俺は…貴方がいてくだされば、他には何も要りません」

「…?」


軽く伏せた睫毛に影を落とされている目を潤ませ、柔らかく微笑む彼に、違和感を感じる。


「けれど、貴方は俺だけでは満たされない。俺だけの世界では生きて下さらない」


「それが、どうしようもないほどに悲しくて、嫌で、…眩しくて、」と続けながら、頬に触れてくる手に、小さく震える。

その綺麗な顔に、感情は浮かんでいるはずなのに。
異常に優れた外見も相まって余計にゾクリと背筋が寒くなるような震えが身体を襲う。


「ね…夏空様」

「…な、に…」


怪しい声音と艶のある笑みに、ごく、と息をのむ。


「俺を、避けていたでしょう」

「…ぇ、」

「夏空様が、彼女のことでお仕置きをくださった後です」


ぎくりとする。
普段通りに接することができていたと思っていたのに、

……ばれていたとは思わなかった。

思い出す、『お仕置き』
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