貴方の首筋にかぶりつく

◇◇◇


それは夜ご飯を食べてるときのことだった。


「あ、そうだ」


もぐ、と口の中の物を飲みこむ。美味しい。
さっくんのお膝の上で、次の一口のために大好物のハンバーグをあーんされながら…不意にハタと思い出した。


「さっくん!」

「…?ハンバーグではなく、次はサラダに致しましょうか?」

「ぬ!?違う!」


決して今サラダを所望しているわけではない。


「皆に聞いたぞ!」


皆っていうかひとりだけど。

さっくんにその話題を出したら流され、うやむやにされてしまった。

正孝に相談した結果、やっぱりもう一回挑んでこいと言われ、…オレは聞く決意を新たにした。

まぁとにかく、怒ってるんだぞ、と示すように…むむ、と眉をまんなかに寄せて、唇を尖らせる。


「…聞いた?何をですか?」

「お風呂も自分でひとりで入ってるってことと、…ああやってちんちん扱いたりするの、…さっくんにずっとしてもらってたけど、普通執事にはしてもらわないんだってこと」


皆全部自分でやってるんだって、と続けて言いかけて


「っておい、しゃべってるのに口にハンバーグ押し付けてくるな!」


さっきまでと同じ、凄く楽しそうに満面の笑顔なさっくんに、ハンバーグの角をぷにぷに唇に押し付けられていた。

口の端がソースで汚れた。


「こうして俺がスプーンを近づけると、一生懸命にお話をされている最中にもかかわらず、小さなお口をあけて最早条件反射で食べようとしていらっしゃる夏空様が、…その、」


そこで一度言いよどみ、白い頬を染め、照れたように視線を逸らす。


「…あまりにも純粋で無邪気で愛らしくて…ゾクゾクしてしまって…」

「…〜〜っ゛!!もぉぉおお…!オレの話を聞け!勝手にひとりで楽しむな…!」

「嗚呼、今も唇についているソースをさりげなく舐める可愛らしい舌の動き……、……っ、…何故でしょう…胸が、苦しすぎて死にそうです…」

「興奮してるからだろ!」


はぁはぁ悶えてて、全然話を真剣に聞いてくれない。
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