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握った手をいっそう強くして離してくれない。
(…さっくんの代わりに、ってことなのかな)
「………」
でも、…なんとなく、触れている温度がいつもと違う。
それを実感して、寂しくなった。
…そうして、しゅん…と俯いていると、
「ぎゃああああ!!」
「っ?!?」
突然隣で悲鳴が上がった。
ぎょっとして声の方を見れば、白にゃんこがガリガリガリと爪で正孝の顔を引っかいている。
「いてえ!いてえっつの!クソ!アイツがいないと思ったら、今度は猫かよ!」
「…っ…にゃんこをいじめるのはだめなんだぞ」
結構痛そうな感じに赤い線の残っている顔で、猫を鷲掴みにして放り投げようとする正孝から手を離し、猫を庇う。
猫はオレが撫でると、気持ちよさそうに目を細め、ごろごろと喉を鳴らして大人しくなった。
「なぁ…ちょっと贔屓酷くない?今いじめられてたのは猫じゃなくて、むしろ俺のほうだと思うんだけどなー」
「さっくんを『あんな執事』とか言ってバカにしたからだろ」
オレだってさっくんを嫌な感じでいわれて腹が立った。
むすっとしてじっとり睨めば、腕の中で抱かれてて…今もまだ若干毛を逆立てている猫が同意したようにこくこく頷く。
「…それに、オレの世話をするのはさっくんじゃないと嫌だ」
「おうおう。俺ってば振られまくってフルボッコですか」
えぐえぐと泣きまねをする正孝の顔が真っ赤で、流石に可哀想になってきたので「ごめん」と一応謝っておいた。
(…にゃんこがいるなら、戻ってきてくれるってことだよな…)
そんな淡い期待を抱き、とりあえず学校へと向かったのだった。
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