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……

…………


「疲れた…」


色んな人からさっくんのことについて聞かれまくって、ぐったりした。

一緒に来なかったし、しかも今日仕事があるのに休んだみたいで、何があったのか気になったんだろう。

…皆さっくん大好きだな、ほんと。


(……しかも、休んでるのって…やっぱり、オレのせい…かな…)


机につっぷして、はぁーーと長い息を吐く。

…と、机に座ってる猫がぽん、っておでこに手を当ててなでなでしてくれた。


「…ありがとな」


今日もずっと一緒に居てくれるらしい白にゃんこの毛並みを撫で返しながら、あ、って思い出しておでこに手を当ててみる。


(…そういえば、熱…治った…?…)


昨日のだるさは嘘のように消えていた。

それに、さっくんの感触も段々薄れてきて…こうして長い間はなれているとまるで全部嘘だったんじゃないかと思えてしまう。

やわらかい毛並みに顔を埋めながら、その背中を撫でている。


…と、


「ねー、音海くん」

「…何?」


ぽんぽんと肩を叩かれ、…もう質問攻めは勘弁してくれと眉をへの字にする。

顔を上げると…クラスの中でも目立つ方の女子が何故か物凄く上機嫌な笑顔を浮かべてこっちを見下ろしていた。


「今日、私誕生日なの」

「……うん」


頷くだけでは満足しなかったらしいので、一応続けて定番の言葉を続ける。


「………おめでとう、ございます」


いつもならクラッカーでぱっかーんくらいするかもしれないけど(いや、それは大げさすぎた。絶対に外でそんなことやらない)、今はもうそんな元気ない。ほっといてくれ、と適当に流す。

けど、…「ありがと」とお礼を言った彼女…桃井は、ただこっちを見つめてくるばっかりで、


「…さっくんなら今日いないけど」

「うん。知ってる」

「…なら、何で」


確か桃井はさっくんのことが大好きだ。
だからか、さっくんのことを『雨宮先生』じゃなくて咲人様って呼んでるし、オレだけの時にはほとんど近寄ってくることがない。

なのに、珍しくそんな風にじっと見つめられると…居心地が悪い。

頬杖をついて窓の方に視線を逸らすと、


「今日はそういう用事じゃないの。音海くんにお願いがあるんだ」

「お願い?」


せっかく顔を背けたのに、見事に回り込まれた。
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