5

一応クラスで一番美人だと言われてる女子に間近で見つめられて、しかもその短いスカートから太ももがチラって見えて、…自然と頬が熱くなってしまう。

うわああもうそんなに短くするなばか、と内心で意味のわからない文句を吐きつつ、目を逸らした。

そして、…さっきから一体なんなんだ、と見上げれば、もじもじと手を後ろで組み、それから期待するような視線を向けられる。

…嫌な予感しかしない。


「あのね、プレゼントがほしいなぁって、」

「……ぷれぜんと…?」


唐突な、しかも要求するような台詞に、自然と眉が寄る。

(誕生日だからってことか?)

悩み、首をひねってみる。

けど、何故よりにもよって自分にそれを言いに来るんだろう。友達じゃだめなのか。

そんな意味を込めて、普段桃井がいた席の辺りを見る。

……と、


「…(…うわ、)」


数人の女子がなんだか楽しそうに輪を作ってこっちを見ていた。女子怖い。こわすぎる。


「音海くんの命令なら、咲人様は断れないでしょ?」

「オレはさっくんが嫌だって言うことはしない」


また脈絡のない質問をされ、しかも内容にむっとした。

その言い方だと、まるでオレが普段嫌がるさっくんを無理矢理こきつかってるみたいじゃないか。

そんなことない、と思う。

…むしろオレの方が家では色々されてるし、それにさっくんもいつも嬉しそうで、だから嫌々じゃなく身の回りのこともしてくれてる…はずだ。

…というか、今の関係のない話…のように見えて、なんとなく繋がっていそうな単語に気がついてしまう。あああもう嫌な予感が増した。


(…もしかして、)


「…さっくんに何かしてほしいことがある…のか?」

「うん」


ぴんぽーん!と頬を赤らめて大きく頷いた頭に、思わずうわあと顔を歪ませた。

ただでさえ今のオレはさっくんと喧嘩?中みたいなもので、たとえ誕生日だからと言われても…どうしたらいいかわからない。きっといつも通りにはできない。凄い気まずい。
prev next


[back][TOP]栞を挟む