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…それに、…会ってくれるかもわからない。

最後の声がまだ耳に鮮明に残ってる。


(…オレのことを傷つけてばっかりって、)


そんなことないのに。
むしろ、…あの時故意に怒らせるようなことを言ったのはオレの方だ。


「……(…さっくんのばか。)」


わからずや。

オレのことはなんでもわかるっていつも言うくせに、何にもわかってないじゃないか。

…とにかく、これ以上さっくんとの仲を悪くしたくない。


だから、的中してほしくなかった。

数学とか記号はあんまり当たらないのにこういう時だけ正解するのは何なんだと叫びながら、今すぐ逃げ出したくなった。


「自分で直接してほしいって言えばいいだろ」

「えーやだよ。それに、きっと私が頼んでも素直に頷いてくれないもん」

「…そういう頼みなら、オレが言ったって無理だと思うけど」


誕生日だからか、全然引き下がってくれる様子が無い。
はぁとため息を吐きながら断ると、ふるふると首が横に振られた。


「ううん。音海くんが言うことに、意味があるんだよ」

「…オレが?」


なんで、と続けると、待ってましたとばかりに口端を持ち上げる。


「あのね、プレゼントが欲しいの」

「いや、だから、」


それはさっき聞いたって言いかけながら、なんだか悪寒が止まらない。


「オレ、もう寝るか…、っ、」


逃げるように突っ伏して寝ようとして、それをさせまいと両頬に手を当てられた。驚いて口を噤む。

…すると、美人と評されているその顔に

彼女は凄く嫌な、媚びた笑みを浮かべて、



「――咲人様を、私にくれない?」

「…………え…、」



店で『お人形1つ』と注文するような、軽い口調でそう言った。


「音海くんの命令で、彼を私の執事にして」

「……っ、」


ね?いいでしょ?と既にほぼ決定事項のように告げてくる桃井に、思考が停止する。

全身が一瞬で凍り付いた。
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